化学電池というのは、物質の化学反応により放出されるエネルギーを電気エネルギーに変換する電池のことです。単純化して説明すると、ある電解質の溶液(電気を通す液体)の中に種類の異なる金属板を2枚差し込み、その2枚の金属板を導線でつなぐと起電力が発生します。これが化学電池の仕組みです。
これは大きく一次電池と二次電池に分類されますが、前者は充電できない使い捨て電池のことで、後者は充電して何度も使えるような電池のことを指します。
このページでは一次電池の解説をし、次のページにて二次電池の説明をします。また、最近よく話題になることの多い燃料電池や太陽電池は一次電池や二次電池とはまた別の仕組みなので、これらについてはそれぞれ、燃料電池のページと太陽電池のページで取り扱います。
一次電池
一次電池には、ボルタ電池、ダニエル電池、マンガン電池、リチウム電池などがあります。
最も単純な電池がボルタ電池で、その構成は以下の通りです。
ボルタ電池:(-)Zn|H2SO4aq|Cu(+)
電池の構成を表すときは上記のように書き、外側に電極を記し、その間に溶媒を記します。つまり、ボルタ電池では、正極に銅板を、負極に亜鉛板を、溶媒には硫酸を用いていることが示されています。
正極では電子を受け取る還元反応が起こり、負極では電子を放出する酸化反応が起こっています。この酸化・還元反応によって電子が流れる(=電流が流れる)ため、電池が成立します。これはボルタ電池に限らず、どの化学電池にも当てはまります。
ちなみに、ボルタ電池の起電力は1.1[V]と低く、かつ、使っていると正極で水素を発生するので、電極に水素の気泡が付いて(分極といいます)起電力が低下してしまうという問題があります。この問題を改善するために考えられたのがダニエル電池で、その構成は以下の通りです。
ダニエル電池:(-)Zn|ZnSO4aq||CuSO4aq|Cu(+)
これはボルタ電池と違って溶媒を2種類使っています。起電力は1.1[V]とボルタ電池と同様ですが、正極で水素が発生せず分極が起こらない分、ボルタ電池よりも良い電池といえます。
また、正極や負極に使う金属類や溶媒の種類を変えることで電池の性能(起電力など)が変わってくるため、実用化しているだけでも様々な種類の電池が存在します。
代表的なものとしてマンガン電池やリチウム電池が挙げられますが、その起電力は、マンガン電池が約1.5[V]で、リチウム電池が約3.0[V]となります。
その構成は、マンガン電池の場合、正極に二酸化マンガン、負極に亜鉛、電解液に塩化亜鉛を用いています。リチウム電池の場合、正極に二酸化マンガン、負極にリチウム、電解液には、有機溶媒にリチウム塩を溶解させたものを使います(マンガン電池やリチウム電池には複数の種類があるため、これらは一例です)。
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