エレベータの昇降のページではエレベータが荷物を持ち上げる際の電動機の出力について扱い、ポンプによる揚水のページではポンプが水を揚げる際の電動機の出力について解説をしてきました。
この項では、送風機(ファンやブロアー)が空気を運ぶ際の電動機の出力について扱いますが、基本は前に2項目と同じような考え方が可能なので、必要に応じてこれらの項目も併せて確認してください。
最初に、送風機として使う電動機の出力の式を以下に示します。繰り返しになりますが、エレベータやポンプのときと同様なので、敢えてこの式を丸暗記する必要はないと思います。むしろ、エレベータやポンプと異なる点に注目して、その部分だけをしっかり押さえておくことをお勧めします。
- P:電動機の出力[W]
- Q:毎分の送風量[m3/min]
- H:風圧[Pa]
- η:効率[%]
- k:余裕係数
エレベータの昇降やポンプの揚水のときは、その基本形は「質量×重力加速度×高さ」でした。しかし、送風機の場合は重力加速度などは使わず、基本形が「送風量×風圧」となります。これについては、単位で考えるとわかりやすいかもしれません。
「質量×重力加速度×高さ」の単位は、
[kg/s]×[m/s2]×[m]=[m2・kg/s3]
となり、この右辺がまさに[W]のことです。
一方、今回の「送風量×風圧」の単位は、
[m3/s]×[Pa]=[m3/s]×[kg/(m・s2)]=[m2・kg/s3]=[W]
となります。
あとはポンプの揚水などと同様、効率と余裕係数で補正をすることで、送風機としての出力を計算することができます。ただし、問題文で効率や余裕係数の話に触れていないときは、この部分は無視して構いません。
また、送風機の出力の調節は、電動機の回転速度を変えることにより、簡単に行うことができます。風量は回転速度に比例し、風圧は回転速度の2乗に比例するため、上式より、出力は回転速度の3乗に比例することがわかります。
たとえば、回転速度を従来の半分にしたら、電動機の消費電力はもとの12.5%(=1/8)まで下がります。
コメント