この項では、同期機に関する計算問題で使うことになる重要公式を紹介していきます。
同期速度
前項で解説した通り、同期機と誘導機はどちらも回転磁界を発生させることで動く機器です。よって、同期速度の式は同期機でも誘導機でも同じ式が適用できるので、区別して覚える必要はありません(誘導機の同期速度については同期速度と滑りのページで解説しています)。
- Ns:同期速度 [min-1]
- p:磁極の数 [極]
- f:周波数 [Hz]
内部誘導起電力
一相あたりの内部誘導起電力(相電圧実効値)は、以下の式で表すことができます。
内部誘導起電力とは、同期電動機の電機子端子電圧(相電圧実効値)から電機子電流の影響を除いた電圧です。
- E:内部誘導起電力 [V] (1相あたりの相電圧実効値)
- kw:巻線係数
- f:周波数 [Hz]
- Φ:磁束 [Wb] (1極あたり)
- N:巻数 (1相あたり)
三相同期機の出力
三相同期電動機も三相同期発電機も、その出力は同じ式で表すことができます。
- P:三相同期機の出力 [W]
- Eo:内部誘導起電力 [V] (相電圧実効値)
- V:電機子端子電圧 [V] (相電圧実効値)
- X:同期リアクタンス [Ω]
- δ:EoとVとの位相角 [rad]
また、上式の3は三相の3なので、もし同期機全体ではなく1相あたりの出力が知りたければ、この3を抜けばよいです。
三相同期電動機のトルク
三相同期電動機のトルクは以下の式で表されますが、これはすぐに(試験中でも)導出できるため、無理に暗記する必要はありません。
- T:トルク [N・m]
- Ns:同期速度 [min-1]
- Eo:内部誘導起電力 [V] (相電圧実効値)
- V:電機子端子電圧 [V] (相電圧実効値)
- X:同期リアクタンス [Ω]
- δ:EoとVとの位相角 [rad]
これは、以下のようなトルクと出力の関係式と、すぐ上で扱った出力の式を組み合わせることで計算できます(上式が約分をして整理されていないのは、以下の式から求めていることをわかりやすく表現するためです)。
電圧変動率
同期機の定格運転時と無負荷運転時では、その端子電圧の大きさは異なります。
定格運転時の端子電圧に対する、無負荷時と定格運転時での端子電圧の差を百分率で表したものを、電圧変動率といいます。文字にするとわかりにくいですが、要するに電圧変動率の定義は以下の式となります。
- ε:電圧変動率 [%]
- Eo:内部誘導起電力(=無負荷運転時の端子電圧) [V]
- Vn:定格運転時の端子電圧 [V]
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