同期速度と滑りのページでは、三相誘導電動機の同期速度Nsと滑りsの計算式を紹介しました。また、これら2つの式を合わせると、回転子の回転速度Nを求める式に変形することもできます。
- N:回転速度(回転子の速度) [min-1]
- s:滑り(単位なし)
- Ns:同期速度 [min-1]
- p:磁極の数 [極]
- f:周波数 [Hz]
ここで、三相誘導電動機の速度制御について考えると、上記3つ目の式から、回転子の回転速度Nを制御するには、磁極の極数p、滑りs、周波数fのいずれかの値を変えれば良いということがわかります。
まず、磁極の極数pを変化させる制御について、この方法は固定子巻線の接続を切り替えれば極数を変化させることができます。
続いて、滑りsを変化させる制御について、これは以下の3つのやり方があります。
- 一次電圧による制御
- 二次抵抗による制御
- 二次励磁による制御
一次電圧による制御では、一次電圧を変化させることにより電動機トルク特性曲線と負荷トルク特性曲線との交点を移動させ、滑りを変化させます。
二次抵抗による制御では、二次側端子に抵抗を接続し、この抵抗値を加減することで滑りを変化させます。この方法は巻線形誘導電動機においてのみ使える方法で、かご形には適用できません。
二次励磁による制御では、二次回路に可変周波の可変電圧を外部から加え、これを変化させることで滑りを変化させます。これも二次抵抗による制御と同様、巻線形でのみ使用できる方法で、かご形では使えません。
最後に周波数fを変化させる制御について、この方法は電源周波数を変化させることで回転速度を制御する方法です。注意点として、電源周波数を変化させたときにトルクも連動して変化してしまわないよう、電源電圧を調整してトルクが一定になるように気をつける必要があります。
コメント