問 題
配電線路の開閉器類に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 配電線路用の開閉器は、主に配電線路の事故時又は作業時に、その部分だけを切り離すために使用される。
- 柱上開閉器には気中形、真空形、ガス形がある。操作方法は、手動操作による手動式と制御器による自動式がある。
- 高圧配電方式には、放射状方式(樹枝状方式)、ループ方式(環状方式)などがある。ループ方式は結合開閉器を設置して線路を構成するので、放射状方式よりも建設費は高くなるものの、高い信頼度が得られるため負荷密度の高い地域に用いられる。
- 高圧カットアウトは、柱上変圧器の一次側の開閉器として使用される。その内蔵の高圧ヒューズは変圧器の過負荷時や内部短絡故障時、雷サージなどの短時間大電流の通過時に直ちに溶断する。
- 地中配電系統で使用するパッドマウント変圧器には、変圧器と共に開閉器などの機器が収納されている。
解 説
(1)は正しいです。配電線路用の開閉器は、配電線路の事故時に事故区間を切り離すためと、作業時の作業区間を区分するために使用されます。前者の目的で使われる開閉器が高圧カットアウト、後者の目的で使われる開閉器が柱上開閉器となります。
(2)も正しいです。柱上開閉器には気中形、真空形、ガス形がありますが、気中形と真空形がよく使われます。操作方法は、手動操作による手動式と制御器による自動式があります。
(3)も正しいです。配電方式には代表的なものが5つ(以下参照)ありますが、ここでは、文中に挙げられている放射状方式とループ方式についてのみ解説をします。それ以外のものについては配電方式(スポットネットワーク方式など)のページを参照してください。
- 放射状方式(樹枝状方式)
- ループ方式(環状方式)
- バンキング方式
- 低圧ネットワーク方式(レギュラーネットワーク方式)
- スポットネットワーク方式
放射状方式は、ある幹線を軸として、そこから枝分かれ(分岐線)を延ばす配電方式です。仕組みが簡単なので建設費が安く、必要に応じて後から分岐線を増設することも容易です。
一部が故障した場合、区分開閉器によって事故区間を遮断することが可能ですが、その際の停電区間が比較的広いことがデメリットとして挙げられます。
ループ方式(環状方式)は、下図のように2つの線路を結合開閉器でつなぎ、ループ状にした配電方式です。
一部が故障した場合、故障点を挟むかたちで両側の区分開閉器を開にすれば、ほかの区間の停電は避けられます。ループ方式は結合開閉器を設置して線路を構成するので、放射状方式よりも建設費は高くなるものの、高い信頼度が得られるために負荷密度の高い地域で用いられています。
(4)が誤りです。高圧カットアウトには柱上開閉器と同様、変圧器を電路から区分する役割もありますが、特徴的な役割としては、変圧器の過負荷や内部短絡故障などの異常が起きると、ヒューズを切って電線路を切り離すことにより、事故を高圧系統側に波及させないようにしています。
ただし、雷サージなどの短時間大電流の通過時にも溶断して系統から切り離されてしまうと、雷サージのたびにヒューズを交換する必要が生じて不都合です。そのため、このような瞬間的な異常では溶断しないようにする必要があります。
よって、(4)の前半部分は正しいですが、後半の「雷サージなどの短時間大電流の通過時に直ちに溶断する」という部分が誤りの記述となります。
(5)は正しいですが、ややマイナーな記述なので、あまり気にしなくてもよいと思います。
パッドマウント変圧器とは、変圧器と附属設備(開閉器や遮断器、低圧母線など)をまとめて収納したもので、地中配電系統で用いられます。これにより電柱や架空電線がなくなるので、景観が重視される都市部などで使われています。
以上から、正解は(4)となります。
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