電験三種 R4年度下期 電力 問8 問題と解説

 問 題     

架空送電線路の構成要素に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. アークホーン:がいしの両端に設けられた金属電極をいい、雷サージによるフラッシオーバの際生じるアークを電極間に生じさせ、がいし破損を防止するものである。
  2. トーショナルダンパ:着雪防止が目的で電線に取り付ける。風による振動エネルギーで着雪を防止し、ギャロッピングによる電線間の短絡事故などを防止するものである。
  3. アーマロッド:電線の振動疲労防止やアークスポットによる電線溶断防止のため、クランプ付近の電線に同一材質の金属を巻き付けるものである。
  4. 相間スペーサ:強風などによる電線相互の接近及び衝突を防止するため、電線相互の間隔を保持する器具として取り付けるものである。
  5. 埋設地線:塔脚の地下に放射状に埋設された接地線、あるいは、いくつかの鉄塔を地下で連結する接地線をいい、鉄塔の塔脚接地抵抗を小さくし、逆フラッシオーバを抑止する目的等のため取り付けるものである。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

(2)に関して、トーショナルダンパは着雪防止が目的ではなく、風による電線の上下振動を減衰しやすいねじり振動に変えて、振動エネルギーを吸収する目的で設置されるものです。

ねじり振動には、振動エネルギーを速やかに減衰させることができるという性質があります。その理由は、ねじり振動の場合では電線のより線間に大きな摩擦が生じるので、これによって振動エネルギーが熱エネルギーに変換されるためです。

なお、着雪防止のためには、電線に加熱器具や難着雪リングを取り付けたり、電線の形状を変えたりする方法があります。

以上から、(2)の記述が誤りなので、正解は(2)となります。

また、ほかの選択肢はいずれも正しい記述ですが、どれも押さえておきたい知識です。さらに、架空送電線路の構成要素の類題として、R1年 問9H25年 問8などが挙げられるので、併せて確認しておくことをお勧めします。

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