電験三種 R4年度上期 機械 問6 問題と解説

 問 題     

ステッピングモータに関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. ステッピングモータは、パルスが送られるたびに定められた角度を1ステップとして回転する。
  2. ステッピングモータは、送られてきたパルスの周波数に比例する回転速度で回転し、入力パルスを停止すれば回転子も停止する。
  3. ステッピングモータは、負荷に対して始動トルクが大きく、つねに入力パルスと同期して始動できるが、過大な負荷が加わると脱調・停止してしまう場合がある。
  4. ステッピングモータには、永久磁石形、可変リラクタンス形、ハイブリッド形などがある。永久磁石を用いない可変リラクタンス形ステッピングモータでは、無通電状態でも回転子位置を保持する力が働く特徴がある。
  5. ステッピングモータは、回転角度センサを用いなくても、1ステップごとの位置制御ができる特徴がある。プリンタやスキャナなどのコンピュータ周辺装置や、各種検査装置、製造装置など、様々な用途に利用されている。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

(1)と(2)はともに正しいです。

ステッピングモータはパルスモータとも呼ばれ、駆動回路に与えられたパルス数に比例する回転角度だけ回転します。パルスが送られるたびに、カチッカチッ…っとステップを踏むように断続的に回転することから、ステッピングモータという名前が付いています。

したがって、このモータはパルスを周期的に与えたとき、そのパルスの周波数に比例する回転速度で回転し、入力パルスを停止すれば回転子も停止します。

(3)も正しい記述です。ややマイナーな内容なので判断に迷うかもしれませんが、文章全体に大きな矛盾もなさそうなので、とりあえず正しそうだ…と考えることができれば十分だと思います。

(4)の1文目は正しく、ステッピングモータには、永久磁石形、可変リラクタンス形、ハイブリッド形などがあります。しかし、2文目の記述が誤っています。

永久磁石形では、永久磁石を使うことによって、無通電状態でもモータの固定子と回転子とが磁石によってくっつくようにできます。こうすることによって、モータを停止させているときに機械的なブレーキを必要とせず、回転子位置を保持しておくことができます。

しかし、永久磁石を用いない可変リラクタンス形ステッピングモータでは、上記のような保持する力が働きません。よって、(4)の記述が誤りだと判断できます。

(5)は正しいです。ステッピングモータは、回転角度センサを用いなくても1ステップごとの位置制御ができ、その実用例としてプリンタやスキャナなどが挙げられます。

以上から、正解は(4)となります。

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