電験三種 R4年度上期 機械 問4 問題と解説

 問 題     

次の文章は、三相同期発電機の並行運転に関する記述である。

ある母線に同期発電機Aを接続して運転しているとき、同じ母線に同期発電機Bを並列に接続するには、同期発電機A、Bの( ア )の大きさが等しくそれらの位相が一致していることが必要である。

( ア )の大きさを等しくするにはBの( イ )電流を、位相を一致させるにはBの原動機の( ウ )を調整する。位相が一致しているかどうかの確認には( エ )が用いられる。

並行運転中に両発電機間で( ア )の位相が等しく大きさが異なるとき、両発電機間を( オ )横流が循環する。これは電機子巻線の抵抗損を増加させ、巻線を加熱させる原因となる。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  •  ア    イ   ウ     エ   オ
  1. 起電力  界磁  極数   位相検定器 有効
  2. 起電力  界磁  回転速度 同期検定器 無効
  3. 起電力  電機子 極数   位相検定器 無効
  4. 有効電力 界磁  回転速度 位相検定器 有効
  5. 有効電力 電機子 極数   同期検定器 無効

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

同期発電機が正常に並行運転をおこなうためには、次のような条件が揃わなければなりません。これらは重要事項として押さえておきたい知識です。

  1. 電圧の大きさと位相が等しい
  2. 周波数が等しい
  3. 電圧の相回転方向が一致している

上記を踏まえて、問題文を確認していきます。

( ア )で、これは上記の条件1が当てはまります。よって、選択肢の中では「起電力」を選ぶのが適切だと判断できます。

( イ )で、母線電圧と同期発電機Bの端子電圧の大きさを等しくするためには、同期発電機Bの界磁電流の大きさを調整します。よって、( イ )には「界磁」が入ります。

( ウ )で、母線電圧と同期発電機Bの端子電圧の位相を合わせるためには、同期発電機Bの駆動機の回転速度を調整します。よって、( ウ )には「回転速度」が入ります。

( エ )で、母線電圧と同期発電機Bの端子電圧の位相の一致を検出するために、同期検定器を使用するのが一般的であり、位相が一致したところで母線に並列する遮断器を閉路します。よって、( エ )には「同期検定器」が入ります。

ちなみに、選択肢にある「位相検定器」というものは、その言葉自体が存在しません。

( オ )で、並行運転している両発電機間に起電力の差が生じると、その差を小さくするために無効横流(無効循環電流)が流れます。

この電流は、一方(電圧が高い側)にとっては90°遅れ電流となって界磁を弱め、他方(電圧が低い側)にとっては90°進み電流になり界磁を強めます。そうすることで、両発電機間の誘導起電力の差を小さくするという仕組みです。よって、( オ )には「無効」が入ります。

以上から、( ア )は「起電力」、( イ )は「界磁」、( ウ )は「回転速度」、( エ )は「同期検定器」、( オ )は「無効」となるので、正解は(2)です。

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