ビル管理士試験 2019年 問81 問題と解説

 問 題     

揮発性有機化合物(VOCs)測定法に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 固相捕集・加熱脱着-GC/MS法は、空気中のVOCsを捕集した吸着剤を加熱脱着装置によりGC/MSへ導入する方法である。
  2. 固相捕集・溶媒抽出-GC/MS法は、空気中のVOCsを捕集した吸着剤を二硫化炭素で抽出した後、GC/MSへ導入する方法である。
  3. TVOC(Total VOC)の測定には、パッシブ法を使用することができる。
  4. トルエン、パラジクロロベンゼンは、検知管法により測定することができる。
  5. 半導体センサを用いたモニタ装置により、トルエン、キシレンを測定することができる。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

揮発性有機化合物(VOCs)のサンプリング法には、アクティブ法とパッシブ法があります。

アクティブとは「積極的な」というような意味があるので、ポンプを使って積極的に試料をサンプリングするときに使います。

一方、パッシブというのは「受動的な」というような意味があるので、空気の自然拡散によるサンプリングのことです。

ただし、TVOC(Total VOC)の測定では、このうちアクティブ法のほうしか使えません。

というのも、特定の種類のVOCだけを測定するときには、その物質ごとに定められた拡散速度がわかっているので、パッシブ法を使った際に、何分経ったら何リットルのサンプルを回収できるというのが計算できます。

しかし、TVOCとはあらゆるVOCの合計値のことであり、種々のVOC全てについて拡散速度が正確にわかるわけではないので、どの物質に対してどのくらいの量をサンプリングができているのかを正確に追うことができません。よって、TVOCでパッシブ法を用いるのは難しいです。

一方、アクティブ法であれば、ポンプによって一定の量の空気を引くことになるので、自然拡散のように物質ごとに異なることにはなりません。よって、TVOCはアクティブ法を用いるのが適切です。

以上から、(3)が誤りとなります。

コメント