ビル管理士試験 H28年 問125 問題と解説

 問 題     

雨水利用設備の単位装置と維持管理項目との組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。

  単位装置     維持管理項目

  1. 集水装置   屋根面の汚れの除去
  2. スクリーン  固形物の除去
  3. ストレーナ  逆洗洗浄装置の点検
  4. 沈砂槽    空気供給量の調整
  5. ろ過装置   閉塞状況の点検

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

雨水利用においては、屋根や屋上に降った雨を回収してそのまま使うことはあまりありません。集めた雨は必ずしもキレイではなく、空気中や屋根・屋上面に付着していた塵や砂などが混じっているからです。

そこで、雨水利用設備では以下のような工程を経て、雨水を利用できる質まで向上させます(以下の工程は一例で、もっと工程を増やしたり、減らしたり、変えたりする場合もあります)。

まずは(1)の「集水装置」で、屋根や屋上などに降った雨を1カ所(または数カ所)に集めます。もし屋根面の汚れがひどいと、ここで集められる雨水の水質が低くなってしまうので、(1)のように維持管理として屋根面の汚れを除去するのは適切な対応です。

次に、(2)の「スクリーン」を通すことで、小石などの固形物を取り除きます。すでにスクリーンに固形物がたくさんついてしまっていると、目詰まりを起こして水が通りづらくなってしまうので、維持管理として固形物の除去を行うことで、スクリーンがしっかり機能するように維持します。

続いて(4)の「沈砂槽」は、スクリーンを通過した小さな固形物(砂)を沈めるための槽です。(4)の維持管理項目には「空気供給量の調整」とありますが、ここは曝気槽ではないので空気の供給は必要ありません。必要ないというより、空気を吹き込んで槽内の水をかき回してしまうと、せっかく沈んだ砂が舞い上がってしまい逆効果です。

よって、これが誤りの記述で、正解の選択肢となります。沈砂槽の維持管理としては、溜まった砂の除去などが挙げられます。

このあとは、(3)の「ストレーナ」に進みます。これは、沈砂槽で沈まなかった軽い固形物を取り除くための装置です。

維持管理項目である逆洗洗浄装置の点検について、まず、ストレーナは茶漉し(ちゃこし)のような構造をしています。茶葉の溜まった茶漉しを洗うとき、順方向から洗っても茶葉が取れないので、反対側から水を流すと思います。

同様に、ストレーナもそこに溜まった固形物を逆から洗い流すこと(=逆洗洗浄)で装置の維持管理をしています。

ちなみに、ストレーナの代わりに「沈殿槽」を設ける場合もあります。これは沈砂槽と同じような槽ですが、沈砂槽と合わせて2段処理とすることで、より多くの粒子を沈殿させることができます。

その後、選択肢にはありませんが「雨水貯留槽」に雨水を溜めて、水量を調節しながら後段に送水します。雨水貯留槽の維持管理項目は、沈殿物の有無の確認です。

そして、(5)の「ろ過装置」で微小な固形物まで取り除きます。ろ過装置の維持管理項目は、固形物で目詰まりが生じないよう、閉塞状況の点検を行います。

最後に「消毒装置」で微生物を殺菌したら、雨水が利用できる状態になるので、これを「雨水処理水槽」に溜めておき、必要に応じて利用します。

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