問 題
水中での塩素化合物(モノクロラミン・ジクロラミン・次亜塩素酸・次亜塩素酸イオン)の消毒カの強さの順として、最も適当なものは次のうちどれか。
消毒力が強い 消毒力が弱い
- ジクロラミン(NHCl2) > モノクロラミン(NH2Cl) > 次亜塩素酸(HOCl) > 次亜塩素酸イオン(OCl–)
- モノクロラミン(NH2Cl) > ジクロラミン(NHCl2) > 次亜塩素酸イオン(OCl–) > 次亜塩素酸(HOCl)
- 次亜塩素酸イオン(OCl–) > モノクロラミン(NH2Cl) > ジクロラミン(NHCl2) > 次亜塩素酸(HOCl)
- 次亜塩素酸(HOCl) > 次亜塩素酸イオン(OCl–) > モノクロラミン(NH2Cl) > ジクロラミン(NHCl2)
- 次亜塩素酸(HOCl) > 次亜塩素酸イオン(OCl–) > ジクロラミン(NHCl2) > モノクロラミン(NH2Cl)
解 説
塩素消毒として用いられるのは、主に問題文にある4種類がありますが、その強弱を大きく2つに分けると、次亜塩素酸系が強いほう、クロラミン系が弱いほうとなります(選択肢でいうと、(4)か(5)の2択となります)。
塩素(ここでいう塩素は、塩素分子Cl2のこと)は強力な漂白・殺菌作用を持ちますが、塩素(Cl2)自体は気体であるため、水中で殺菌作用を示す際もこの分子形でいるわけではありません。塩素(Cl2)は水中で加水分解、イオン解離すると、次亜塩素酸(HOCl)と次亜塩素酸イオン(OCl–)になります。
よって、塩素の強い殺菌力の正体は次亜塩素酸と次亜塩素酸イオンなので、上記の通り、これらの消毒力はクロラミン系よりも強いという判断ができ、選択肢は(4)と(5)に絞られます。
また、(4)も(5)も次亜塩素酸のほうが強い消毒力を持つことになっていますが、実際、次亜塩素酸と次亜塩素酸イオンとでは、次亜塩素酸のほうが80倍くらい殺菌力が強いです。
一方、モノクロラミンとジクロラミンを比較すると、ジクロラミンのほうが強い消毒力を持ちます。
これらの名前の由来は、モノ(1つ)orジ(2つ)+クロロ(塩素)+アミン(-NH2)から来ていますが、塩素の多いジクロラミンのほうが殺菌力が強いと覚えておくと記憶しやすいかもしれません。
※ 分子内に塩素が多い → 殺菌力が強い、というのは記憶するための方便であって、科学的根拠に基づく話ではありません。
以上より、(5)が正しいことがわかります。
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