ビル管理士試験 H27年 問172 問題と解説

 問 題     

殺虫剤やその効力に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。

  1. 懸濁剤は、ULV処理に適した製剤である。
  2. 有機リン剤は、ノックダウンした虫がそのまま死亡する傾向が強い。
  3. ジフルベンズロンは、蚊成虫に対する致死効果が高い。
  4. エトフェンプロックスは、非対称型有機リン剤である。
  5. フェニトロチオンを有効成分とするシャンプーなどの人体用の製剤が市販されている。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

(1)で、ULVは「Ultra Low Volume」の頭文字から取っています。直訳では「超微量」ですが、対応する日本語訳は「微量濃厚散布」です。高濃度の薬剤を少量散布するために用いられます。これは懸濁剤ではなく、多くは水性の乳剤です。

(2)で、有機リン剤は神経伝達物質(アセチルコリン)の分解酵素を阻害し、体内のアセチルコリンを過剰にさせる作用があります。急性毒性が強いため、蘇生する確率もあまり高くはありません(そのまま死亡する傾向が強いです)。一方、ピレスロイド剤は蘇生する傾向が強いです。

(3)で、ジフルベンズロンなどのキチン合成阻害剤は、幼虫の脱皮を阻害することで殺虫効果を発揮します。よって、蚊の成虫に対して使っても効果は期待できません。

(4)のエトフェンプロックスは、「非対称型有機リン剤」ではなく「ピレスロイド剤」に分類されます。

(5)で、フェニトロチオンは対称型有機リン剤に分類される殺虫剤なので、これをシャンプーとして使うのは無理があります。比較的人体に安全性の高いピレスロイド剤を使ったシャンプーならば、フェノトリンを有効成分としたシャンプーがあり、これはシラミ対策のシャンプーとして市販されています。

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