ビル管理士試験 H27年 問62 問題と解説

 問 題     

湿り空気線図上のア~オは、加湿・除湿操作による状態変化を表している。各状態変化と加湿・除湿操作との組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。

  1. ア  蒸気加湿
  2. イ  気化式加湿
  3. ウ  空気冷却器による冷却除湿
  4. エ  シリカゲルなどの固体吸着剤による除湿
  5. オ  液体吸収剤による化学的除湿

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

(1)と(2)はどちらも正しい選択肢ですが、蒸気加湿と気化式加湿の区別はぜひ押さえておいてください。

蒸気加湿の場合は、蒸気を直接噴霧するので、単純に絶対湿度が上がります。後述の気化式加熱とは異なり状態変化を伴わないので、気化熱(潜熱)について考慮する必要はありません。

ただし、蒸気それ自体が空気よりも高温であるため、蒸気加湿によってわずかに部屋の乾球温度が上昇します。よって、これを空気線図上で図示する場合、矢印の向きは真上を少しだけ右に傾けた方向(矢印ア)となります。

気化式加湿の場合は、水を水蒸気に変えることで空気中の湿度を上げます。水が水蒸気に状態変化する際には空気中から気化熱が奪われるので、乾球温度は下がります。これを言い換えると、顕熱を失って乾球温度が下がる一方で、潜熱を得て湿度(絶対湿度・相対湿度)が上がっています。

このとき、失った顕熱と得た潜熱は同量であるため、湿球温度は動きません。つまり、気化式加湿の場合は湿球温度がそのままで相対湿度が上がっていく方向(矢印イ)に動きます。

(3)、(4)、(5)は除湿の分類になります。

(3)の空気冷却器による冷却除湿では、部屋を冷却するために温度を下げ、さらに空気冷却器の伝熱面上で結露を起こすことで除湿します。つまり、乾球温度も絶対湿度も下がるため、図の通り、ウの方向へと動きます。

(4)の固体吸着剤と(5)の液体吸収剤では、どちらも水分を吸着・吸収する際に熱が発生するので、この吸着熱・吸収熱によって乾球温度が上がることで、相対湿度が下がります。

また、液体吸収剤を用いた際の吸収熱はあまり大きくないので、下図のオのように湿球温度はあまり変化しませんが、固体吸着剤を用いた際の吸着熱はかなり大きく、下図に赤矢印で示したエのように、湿球温度も増加します。

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