問 題
下の図のようなA部材とB部材からなる外壁がある。いま、A部材とB部材の熱伝導抵抗がそれぞれ0.95m2・K/W、0.4m2・K/Wであり、室内側熱伝達率と屋外側熱伝達率がそれぞれ10W/(m2・K)、20W/(m2・K)であるとする。
室内と室外の温度差が15℃であるとき、この外壁の単位面積当たりの熱流量として、正しいものはどれか。
- 0.5W
- 2W
- 10W
- 20W
- 30W
解 説
問われているのは「外壁の単位面積当たりの熱流量」ですが、このように壁を突き抜ける熱量のことを「貫流熱流」といい、次の式で表されます。
- q:単位面積当たりの貫流熱流[W/m2]
- θ:壁の内外の温度差[K]
- R:熱貫流抵抗[m2・K/W]
つまり、qを計算するためにはθとRを求めればよいのですが、θは問題文から15[K]と与えられています(単位が℃とKで異なりますが、温度差であれば同じことです)。よって、目下の目標はRを計算することになります。
ここで、熱が壁を通るときには100%は通過せず、ある程度のロスが発生してしまいます。どのくらい熱が遮られるのか(熱損失が大きいのか)を表すパラメータが、この熱貫流抵抗Rです。
問題の図には「屋外側」、「A部材」、「B部材」、「室内側」の4つのエリアに分かれていますが、それぞれの熱抵抗の和がRとなります。
A部材とB部材の熱抵抗はすでに問題文で与えられている一方、室内側と屋外側は伝達率が与えられています。単位を見るとわかるように、伝達率と抵抗とは逆数の関係があるので、熱貫流抵抗Rは次のように計算することができます。
(ちょっと脱線)
問題文では、A部材とB部材には「熱伝導」という言葉が、室内側と屋外側には「熱伝達」という言葉が使われています。これは、部材のような固体の中を熱が伝わることを「熱伝導」といい、空気と壁の間のように気体と固体の間を熱が伝わることを「熱伝達」ということに由来します。
熱伝導抵抗の逆数は熱伝導率、熱伝達抵抗の逆数は熱伝達率…というのが正しい考え方ですが、どちらも同じ単位で並列に並べて計算できるので、ビル管理士の試験対策としては特に区別して覚える必要はないと思います。
(脱線おわり)
以上から、最初に示した式を使えば、貫流熱流qを計算することができます。
よって、外壁の単位面積当たりの熱流量は10[W]となります。
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