ビル管理士試験 2021年 問38 問題と解説

 問 題     

電離放射線による健康影響のうち、確定的影響かつ晚発影響として最も適当なものは次のうちどれか。

  1. 不妊
  2. 染色体異常
  3. 白血病
  4. 白内障
  5. 甲状腺がん

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

この問題を解くためには、確定的影響かどうかという点と、晚発影響かどうかという点の2段階で考えていく必要があります。まずは、確定的影響のほうから解説します。

閾値があるときの健康影響を「確定的影響」といい、閾値がないときの健康影響は「確率的影響」といいます。

閾値があれば、それ未満の量であればどれだけあっても全く影響が出ない、という意味で結果が確定しています。閾値がなければ、どんなに少ない量であっても、もしかしたら影響が出てしまう、という意味で確率的な話となります。

電離放射線の生体影響は、閾値のないもの(=確率的影響)を覚えておいて、それ以外は全て確定的影響と考えるのが良いと思います。というのも、確率的影響のほうが出題されやすい上、出てくる影響が大体決まっているからです。

電離放射線の生体影響のうち、確率的影響は以下の3つです。それ以外のもの(脱毛や不妊など)は、閾値がある確定的影響であると考えてください。

  1. 悪性腫瘍(がん)  … 選択肢(5)
  2. 遺伝子異常   … 選択肢(2)
  3. 白血病     … 選択肢(3)

今回は確定的影響が問われているので、残るのは(1)の「不妊」と(4)の「白内障」です。

続いて、今度は晚発影響かどうかを考えていきます。

放射線の身体的影響には、早期影響と晩発影響があります。早期影響とは放射線を浴びてからすぐに生じてくる影響のことで、晩発影響とは数年とか数十年経ったのちに現れてくる影響のことです。

早期影響には、不妊、皮膚潰瘍、白血球減少、脱毛などがあります。

晩発影響には、白内障や悪性腫瘍(甲状腺がん、白血病、皮膚がん)、胎児の障害などがあります。

よって、選択肢(1)と(4)では(4)の「白内障」が晩発影響に該当します。

また、ここで挙げた例は全て放射線の身体的影響です。これとは別に、放射線の遺伝的影響もあり、たとえば染色体異常や胎児奇形などが挙げられます。遺伝的影響は全て晩発影響に分類されます。

以上から、正解は(4)となります。

コメント

  1. ひさ より:

    胎児の障害は遺伝的影響ではなく身体的影響の晩発影響ではないでしょうか。

    • (管理人) より:

      確かにその通りですね、解説を修正しました。
      ご意見ありがとうございます!