ビル管理士試験 H30年 問57 問題と解説

 問 題     

図は空気線図上に状態点Aから湿球温度、比エンタルピー、比容積が同じとなる方向を矢印で示している。それぞれの矢印が示す要素として、正しい組合せは次のうちどれか。

    ア        イ        ウ

  1. 湿球温度     比エンタルピー  比容積
  2. 湿球温度     比容積      比エンタルピー
  3. 比エンタルピー  湿球温度     比容積
  4. 比エンタルピー  比容積      湿球温度
  5. 比容積      湿球温度     比エンタルピー

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

答えを先に示すと、(3)が正しい選択肢です。しかし、図のアとイがほぼ同じところに位置する上、両者の位置関係を正確に比較できることがそこまで重要事項だとは思えないので、個人的には、この問題は(1)と(3)の2択まで絞れたらそれで充分だと思います。

…という前置きをした上で、以下にこの問題の解説をします。


湿り空気線図(h-x線図)とは、以下のような図です。

上図を見るとわかるように、4つの軸が次のパラメータに対応しています。

  • 横軸:乾球温度[℃]
  • 縦軸:絶対湿度[kg/kg(DA)]
  • 右上がりの軸(左上がりの線):湿球温度[℃]
  • 左上がりの軸(右上がりの線):相対湿度[%]

今回は問題文にこれと同じような図が記載されていますが、もし図が一切描かれていなくても、このくらいは思い出せるようにしたいです。

以上から、湿球温度は右上がりの軸なので、湿球温度がある一定の値をとる矢印は左上がりになります。その傾きの具合から、湿球温度は問題文のアかイに相当すると判断できます。

また、比容積は、乾き空気の質量あたりの湿り空気の容積を指すパラメータです。たとえば湿り空気を冷却すると比容積は小さくなり、相対湿度と比容積は直交するような形になります(厳密に直交するわけではありません)。よって、これがウに相当します。

残る比エンタルピーは、乾き空気の質量あたりの熱量を指すパラメータです。これも大体湿球温度と同じような軌跡をたどります。つまり、比エンタルピーはアかイに相当します。

正確にいえば、湿球温度のほうが比エンタルピーよりも空気線図上で傾きが大きいので、湿球温度がイ、比エンタルピーがアということになりますが、上記の通り、この区別はややアドバンスな内容となってくるので、この問題は(1)と(3)の2択まで選べたらあとは運任せで仕方ないと思います。

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