ビル管理士試験 2024年 問122 問題と解説

 問 題     

給湯設備の配管に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 横管が凹配管となる場合は、水抜きのための止水弁を設ける。
  2. ポンプの揚程は、循環管路系で最も長くなる管路における摩擦抵抗と局部抵抗による圧力損失から決定する。
  3. 架橋ポリエチレン管の線膨張係数は、ステンレス鋼管のそれより小さい。
  4. 銅管は、循環配管を設けない一管式配管において腐食の発生がほとんどない。
  5. 樹脂管を温度の高い湯に使用すると、塩素による劣化が生じやすい。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

(1)は正しいです。配管の一部が下がって凹配管となる場合、そこに汚れや湯垢が溜まりやすく、衛生面やメンテナンス面の問題が起こりやすいです。そのため、そのような箇所には止水弁を設けて、水抜きと清掃ができるようにします。

(2)も正しいです。お湯を循環させるポンプの能力を決定する際には、その循環管路系の中で最も厳しい条件をクリアできることが設計上の基準となります。そう考えると、循環管路系で最も長くなる管路における摩擦抵抗と局部抵抗による圧力損失から決定するのは妥当だといえます。

(3)が誤りです。線膨張係数について、金属管(例:ステンレス鋼管、銅管)と合成樹脂管(例:架橋ポリエチレン管、ポリブテン管)とを比べると、合成樹脂管のほうが一桁ほど大きくなります。

ただし、合成樹脂管の中でも耐熱性硬質ポリ塩化ビニル管だけは、名前の通り耐熱性を有するので他の合成樹脂管よりも膨張しにくいです。

よって、各配管材料の線膨張係数[1/℃]は次のような並び順になります。

  • (線膨張係数 小):金属管 < 耐熱性硬質ポリ塩化ビニル管 < 他の合成樹脂管:(線膨張係数 大)

(4)は正しいです。銅管は、他の金属管に比べて耐腐食性が高いという特徴があります。全く腐食しないわけではありませんが、小規模・短距離の「一管式配管」では深刻な腐食が起きるケースはほとんどありません。

(5)も正しいです。高温条件下では、水道水に含まれる残留塩素と樹脂との反応が進みやすく、結果として樹脂が劣化していきます。

以上から、正解は(3)です。

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