問 題
給水設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 可とう継手は、建築物の揺れ、地盤の不等(不同)沈下、配管の振動等による変位の吸収のために配管に取り付ける。
- ウォータハンマとは、給水管路において、弁を急激に閉止するときに弁の下流に生じる著しい圧力上昇が、圧力変動の波として管に伝わる現象である。
- 合成樹脂管のクリープ劣化とは、合成樹脂に熱応力が長時間継続してかかる場合、材料変形が時間とともに進んでいく状態をいう。
- 吸排気弁は、給水管内の空気の排出と、給水管内が負圧になった場合の逆流防止のために設置する。
- さや管ヘッダ工法とは、集合住宅の住戸内などで、ヘッダから各器具にそれぞれ単独でさや管を用いて配管する工法である。
正解 (2)
解 説
(1)は正しいです。可とう継手(フレキシブルジョイント)は、建物の揺れや地盤沈下などで配管に生じる変形を吸収し、配管破損を防ぐ目的で用いられます。
(2)が誤りです。ウォータハンマは、弁を急激に閉じると、管内の水の流れが阻止されて閉じた点の上流側の水圧が急激に上昇し、そのとき生じる圧力波が、配管系内に一定速度で伝わる現象のことをいいます。
(2)では「弁の下流に生じる著しい圧力上昇」とありますが、弁の「下流」は今ある水が抜けていくだけなので、特に大きな圧力上昇はありません。一方、弁の「上流」は給水の勢いに対して排水の行き場がないために、著しい圧力上昇が起こります。
(3)は正しいです。クリープとは、金属・樹脂などの材料に応力や温度負荷が長時間加わることで、じわじわと変形が進む現象を指します。そのため、合成樹脂管のクリープ劣化とは、合成樹脂に熱応力が長時間継続してかかる場合、材料変形が時間とともに進んでいく状態をいいます。
(4)も正しいです。吸排気弁は、配管内に溜まった空気を排出すると同時に、管内が負圧になった際に空気を吸込み、管を大気圧に近い状態に保つ装置です。結果として、負圧による逆流防止につながります。
(5)も正しいです。さや管ヘッダ工法は、住戸内の配管において、ヘッダから各器具に専用配管(さや管)を1本ずつ配管する工法です。この工法は、漏水時などに配管を交換しやすく、水圧の偏りが少ないというメリットがあります。
以上から、正解は(2)です。
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