問 題
環境衛生に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 許容限界とは、生物が耐えきれなくなるストレス強度の限界のことである。
- 許容濃度を守ることにより、ほとんどすべての労働者に、健康上の悪い影響は見られないとされている。
- 有害物による、がんなどを除く特定の反応については、曝露(ばくろ)量が増加すると陽性者は直線的に増加する。
- 有害物の負荷量と個体レベルにおける障害などの程度の関係を、量-影響関係と呼ぶ。
- 学校における環境衛生の基準は、学校保健安全法で定められている。
正解 (3)
解 説
(1)は正しいです。許容限界とは、生物が耐えきれなくなるストレス強度の限界のことをいいます。
(2)も正しいです。許容濃度とは、労働者が1日8時間、週40時間程度、肉体的に激しくない労働強度で有害物質に曝露されても、ほとんど全ての労働者に健康上の悪い影響が見られないと判断される濃度のことです。
(3)が誤りです。がんなどを除く多くの場合、ある一定の閾値を超えなければ有害影響は生じないと考えられています。
つまり、閾値以下では影響がほとんど現れず、一定レベルを超えた後に影響が顕著になるという非線形的な応答を示すことが多いため、(3)の「陽性者は直線的に増加する」という部分が誤りだと判断できます。
(4)は正しいです。今回は正しい記述ですが、「量-影響関係」と「量-反応関係」の名称と説明文が合わない文章が、誤りの選択肢としてよく出題されています。
以下を参考に、これらを区別できるようにしておいてください。さらに詳しく知りたい場合には、2023年 問22の解説を参照してください。
- 量-影響関係:有害物の負荷量と個体レベルにおける障害などの程度の関係
- 量-反応関係:有害物の負荷量と集団の反応率との関係
(5)も正しいです。記述の通り、学校における環境衛生の基準は学校保健安全法で定められています。
以上から、正解は(3)となります。
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