ビル管理士試験 2023年 問69 問題と解説

 問 題     

冷却塔に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 開放型冷却塔は通風抵抗が大きいため、密閉型冷却塔よりも大きな送風機動力が必要である。
  2. 密閉型冷却塔は、電算室やクリーンルーム系統用に採用されることが多い。
  3. 開放型冷却塔では冷却水の水質管理、密閉型冷却塔では散布水の水質管理が重要である。
  4. 冷却能力が同等の場合、密閉型冷却塔は、開放型冷却塔よりも一般に大型である。
  5. 空調用途における冷却塔は、主として冷凍機の凝縮熱を大気に放出するためにある。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

開放式冷却塔と密閉式冷却塔の特徴については頻出テーマなので、両者をしっかり区別して覚えておくことが大切です。以下で、それらについて解説します。

開放型冷却塔は、循環する冷却水が直接空気と接触し、冷却水の一部が蒸発することにより気化熱が吸収されて、残りの水が冷却されます。そのため冷却効率は高いですが、水が外気に触れるので汚れやすく、循環水のブローや薬品注入など、水質管理がやや大変です。また、構造が単純な分、散布水系統の保有水量は多く取れます。

一方、密閉型冷却塔は、熱交換器の外面に散布した水の蒸発潜熱を利用して管内の冷却水を冷却します。この場合、通風抵抗の増加に伴い送風機動力が増加する上、散布水ポンプにかかわる機構が付加されるため、冷却塔は大型になり、コストも割高です。また、構造が複雑な分、散布水系統の保有水量は少ないです。

以上を踏まえて選択肢を確認します。

(1)が誤りです。開放型冷却塔は冷却水が外気に開放されているため、水と空気の間で直接熱交換を行います。一方、密閉型冷却塔では水と空気が間接的に熱交換するので、空気は限られた系(ライン)からしか外へ出ていきません。そのため、密閉型のほうが通風抵抗は高くなります。

よって、(1)の記述は「開放型冷却塔」と「密閉型冷却塔」を反対にすることで正しい文章となります。

(2)は正しいです。密閉型冷却塔は冷却水が外気に触れないため、冷却水の汚染は少なく、冷凍機の性能低下が少ないです。そのため、電算室やクリーンルーム系統用のような、安定性や確実性が求められる場所で採用されています。

(3)も正しいです。外気に触れる水は汚れやすいので、開放型冷却塔では冷却水、密閉型冷却塔では散布水の水質管理が重要となります。

(4)も正しいです。密閉型冷却塔は通風抵抗が大きいため、開放型冷却塔よりも大きな送風機動力が必要となります。さらに、散布水ポンプに関わる機構が付加されるため、一般的に開放型冷却塔よりも大型化します。

(5)も正しいです。冷却塔では、循環する水が空気と接触し蒸発します。この際、残りの水から気化熱を奪うため、冷却塔の役割は、冷凍機の凝縮熱を大気に放出することだといえます。

以上から、正解は(1)です。

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