ビル管理士試験 2023年 問19 問題と解説

 問 題     

次の法令とその規制対象との組合せとして、誤っているものはどれか。

  1. 下水道法:一定規模以上の飲食店に設置される厨(ちゅう)房施設の排水中のノルマルヘキサン抽出物質含有量
  2. 水質汚濁防止法:一定規模以上の合併処理浄化槽の排水中の生物化学的酸素要求量
  3. 大気汚染防止法:一定規模以上のボイラの排ガス中のいおう酸化物
  4. 温泉法:一定規模以上の温泉施設の排水中の水素イオン濃度
  5. ダイオキシン類対策特別措置法:一定規模以上の廃棄物焼却炉の排ガス中のダイオキシン類の量

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

本問は珍しい出題形式であり、かつ、(4)の温泉法というマニアックな選択肢が正解であるため、やや判断が難しい設問かもしれません。しかし、温泉法の知識がなくても正解できるため、決して捨て問題ではありません。

本問に対して正確に解答できる知識を持っている方は少ないと思いますが、見慣れない設問でも安易に捨て問題と判断せず、考えることでなるべく得点につなげてほしいと思います。

(1)と(2)に関して、排水の放流先が下水道なら下水道法が、河川や海などの公共用水域なら水質汚濁防止法が適用されます。

どちらの法律でも、高濃度の有害物質が一気に流入してこないよう、ノルマルヘキサン抽出物質含有量や生物化学的酸素要求量などの排水基準値が定められています。よって、(1)と(2)はともに正しい記述です。

(3)に関して、大気汚染防止法では大気汚染物質の排出基準値が定められています。いおう酸化物は代表的な大気汚染物質であるので、(3)も正しい記述です。

(4)に関して、温泉法では、温泉の利用に関する事項や、温泉の採取に伴う災害の防止などについて規定されている一方で、(4)にある「一定規模以上の温泉施設の排水中の水素イオン濃度」に関する規定はありません。

というのも、(1)で解説したように、温泉施設であってもほかの建築物と同様、その排水の放流先が下水道なら下水道法が、河川や海などの公共用水域なら水質汚濁防止法が適用されます。よって、排水中の水素イオン濃度についても、温泉法ではなくこれらの法律で定められた基準に従うことになります。

(5)に関して、ダイオキシン類対策特別措置法では、排ガス中や排水中などのダイオキシン類の量が規制の対象となります。よって、(5)は正しい記述です。

以上から、正解は(4)となります。

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