問 題
建築物衛生法に基づく特定建築物内のねずみ・昆虫等の防除に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- トラップによる生息状況調査により複数の害虫種が捕集された場合、それぞれの種類の生息密度が「許容水準」に該当する場合でも「警戒水準」にあると判断する。
- ねずみ・昆虫等に対する不快感も、健康被害の一つである。
- 調査では、発生状況や被害状況に関する聞き取り調査を重点的に実施する。
- 防除は、ベクターコントロールとニューサンスコントロールという二つの異なる側面をもつ。
- 建築物における維持管理マニュアルのIPM実施モデルに示す水準値は、現場の使用用途などの状況に応じた個別水準値を設定することも可能である。
正解 (3)
解 説
(1)は正しいです。関連知識として、生息調査の結果として判定される以下の3つの水準は、ぜひ押さえておいてください。
- 許容水準:良好な状態で、このまま維持したい
- 警戒水準:現状で大した問題はないが、放っておくと問題が生じるかもしれない
- 措置水準:状況は悪く、すぐに防除作業が必要
(2)も記述の通りで、正しい内容です。
(3)が誤りです。発生状況や被害状況に関する聞き取り調査も重要ですが、ねずみやゴキブリなど夜行性のものも多く、これらだけではカバーしきれない部分もあるので、トラップ等による捕獲調査も必要です。
(4)は正しいです。ペストコントロールには、ベクターコントロールとニューサンスコントロールの二つの側面があります。それぞれの用語の説明は次の通りです。これもたまに出題されるので、以下の3つを区別できるようにしておきたいところです。
- ペストコントロール:害虫対策として行う防除のこと。
ペスト(pest)とは、ネズミや害虫などの有害な生物を指します。 - ベクターコントロール:感染症を媒介する害虫対策として行う防除のこと。
ベクター(vector)には、「感染症を媒介する害虫」の意味があります。 - ニューサンスコントロール:不快感をもたらす害虫対策として行う防除のこと。
ニューサンス(nuisance)には、「生活妨害」といった意味合いがあります。
(5)も正しいです。IPMによる維持管理水準値は(1)の解説の通り、許容水準・警戒水準・措置水準とするのが基本ですが、これにこだわらず、現場の使用用途などの状況に応じた個別水準値を設定することもできます。
以上から、正解は(3)となります。
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