ビル管理士試験 2022年 問174 問題と解説

 問 題     

殺虫剤の効力や剤形(剤型)に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 殺虫剤の速効性は、KT50値から判断できる。
  2. ピレスロイド剤は、ゴキブリなどに対しフラッシング効果を示す。
  3. フィプロニルは、ゴキブリ用の食毒剤の有効成分である。
  4. プロペタンホスには、マイクロカプセル(MC)剤がある。
  5. 有機リン剤を有効成分とした、ULV処理専用の乳剤がある。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

(1)は正しいです。KT50は殺虫剤の速効性を示す数値となり、KT50の値が小さいほど速効性が高いです。KT50、IC50、LD50、LC50の用語の意味は以下の通りですが、これらの区別は重要なので、ぜひ優先的に押さえておきたい知識です。

KT50は「Knock-down Time, 50%」の略で、全体の50%がノックダウンする時間を示しています。これは、殺虫剤の速効性を示す数値となります。

IC50は「Inhibitory Concentration, 50%」の略で、50%阻害濃度と訳されます。50%の幼虫が成虫になるのを阻害され、成虫になれなくする濃度のことです。

LD50は「Lethal Dose, 50%」の略で、日本語にすると「半数致死量」のことです。その薬をある一定量投与したときに対象動物(虫)の半数が死んでしまう量を指すので、この半数致死量が少なければ、「少量の毒で死ぬ=強力な毒」ということになります。

LC50は「Lethal Concentration, 50%」の略で、日本語にすると「半数致死濃度」のことです。空間中や水中にある薬を撒いたり溶け込ませたりしたとき、対象動物(虫)の半数が死んでしまう濃度を指します。LD50は直接投与する量ですが、LC50では環境中の濃度であることがポイントです。

(2)も正しいです。フラッシング効果とは、忌避性を示すピレスロイド剤を使うことで、ゴキブリが物陰から開放された場所に飛び出すという効果のことです。

(3)も正しいです。フィプロニルはゴキブリなどの毒餌として用いられ、幼虫にも成虫にも効果があります。ただし、ゴキブリ用の毒餌といえばホウ酸やヒドラメチルノンのほうが頻出なので、覚えるなら先にこれらを押さえておきたいです。

(4)も正しいです。プロペタンホスは非対称型有機リン剤で、マイクロカプセル(MC)剤の形で使われるのが有名(頻出)です。

(5)が誤りです。ULV処理では、ピレスロイド剤を有効成分とする専用の水性乳剤が用いられます。よって、(5)の「有機リン剤」が誤りで、正しくは「ピレスロイド剤」となります。

以上から、正解は(5)です。

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