ビル管理士試験 2022年 問28 問題と解説

 問 題     

空気環境に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

  1. 良好な室内空気環境を維持するためには、一般に1人当たり30m3/h以上の換気量が必要とされている。
  2. 一般の室内環境下では、窒素の人体への健康影響はない。
  3. 空気中の酸素濃度が16%程度になると意識障害やけいれんが生じる。
  4. 二酸化炭素濃度は、室内空気の汚染や換気の総合指標として用いられる。
  5. 窒素は、大気の約78%を占める。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

(1)は記述の通りで、良好な室内空気環境を維持するためには、一般に1人当たり「30m3/h」以上の換気量が必要とされています。この数値を変えて誤りの選択肢として出題されたこともあるので、正確に覚えておきたいところです。

なお、これは規定事項ではなく目安であり、二酸化炭素濃度をより重要な指標として用いています。そのため、もし1人当たり30m3/h以下の換気量であっても、二酸化炭素濃度が高くならなければそれで問題ありません。

(2)と(5)に関して、(5)の通り窒素は大気中の約78%を占めるので、これが人体に有害だとすると人類は生きていけません。よって、(2)も(5)も正しい記述となります。ちなみに「窒息」という言葉がありますが、あれは酸素がないことが原因であって、窒素があることが問題なのではありません。

(3)で、空気中の酸素濃度が18%未満である状態のことを「酸素欠乏」といいます。

18%からさらに下がると徐々に体調不良となり、酸素濃度が10%を下回るあたりから深刻な副作用が出てきます。具体的には、問題文に書かれている意識障害やけいれんのほか、顔面蒼白やチアノーゼの症状が出ることもあります。

よって、(3)の「16%」が誤りで、正しくは「10%」となります。

もし(3)の正しい数値が10%だとわからなくても、酸欠の基準が18%であることを知っていれば、16%の時点でそんなに深刻な悪影響は出ないだろう…と推測できるので、いずれにしても(3)の記述が誤りであることには気づけると思います。

(4)は(1)の解説の通りで、二酸化炭素濃度は室内空気の汚染や換気の総合指標として用いられます。よって、(4)は正しいです。

以上から、正解は(3)となります。

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