問 題
事務所衛生基準規則において、労働者を常時就業させる事務室の環境管理に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
- 気積は、設備の占める容積及び床面から4メートルを超える高さにある空間を除き、労働者1人について、10立方メートル以上としなければならない。
- 一酸化炭素及び二酸化炭素の含有率を、それぞれ100万分の50以下及び100万分の5,000以下としなければならない。
- 冷房する場合は、当該室の気温を外気温より著しく低くしてはならない。
- 中央管理方式の空調設備を設けている建築物では、作業環境測定は2か月以内ごとに1回、定期に行わなければならない。
- 事務室の作業環境測定は、作業環境測定士が実施しなければならない。
解 説
(1)は正しいです。気積は、「4m」を超える空間を除いて「10m3/人」以上と定められています。この2つの数値を変えて出題されることもあるので、正確に覚えておきたい内容です。
(2)も正しいですが、これは難易度が高いです。
この試験で一酸化炭素と二酸化炭素の基準値が問われたら、それぞれ6ppmと1000ppmと答えたくなりますが、実はこれは「建築物衛生法における空気調和設備を設けている場合の建築物環境衛生管理基準」です。つまり、特定建築物の話であって一般事務所の話ではありません。
今回は「事務所衛生基準規則における事務室の環境管理」が問われていて、空気調和設備があるとの前提条件も明記されていません。よって、より広い基準値として設けられている「一酸化炭素50ppm以下かつ二酸化炭素5000ppm以下」が適用されるので、(2)は正しい記述となります。
…とはいえ、この試験においては「建築物衛生法における建築物環境衛生管理基準」のほうを問われることがほとんどなので、しっかり区別して覚えられる自信がない場合は、この選択肢は深入りしないほうがよいと思います。
(3)も正しいです。居室における温度を外気の温度より低くする場合は、その差を著しくしてはいけません。
(4)も正しいです。作業環境測定は2か月以内ごとに1回行う必要があります。(3)や(4)の内容は建築物衛生法でも事務所衛生基準規則でも同一なので、わかりやすいと思います。
(5)が誤りで、作業環境測定を行うために特別な資格は必要ありません。そもそも、作業環境測定士は放射性物質や特定化学物質を扱うような作業場で作業環境測定を行うために必要な資格です。普通の特定建築物や事務所とはほとんど関係がありません。
よって、正解は(5)となります。
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