ビル管理士試験 2021年 問171 問題と解説

 問 題     

殺虫剤に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。

  1. 有機リン剤を液化炭酸ガスに溶解し、ボンベに封入した製剤がある。
  2. ピレスロイド剤によりノックダウンした昆虫は、蘇(そ)生せずに死亡することが多い。
  3. 油剤は、有効成分をケロシンに溶かし、乳化剤を加えた製剤である。
  4. プロペタンホスは、カーバメート系殺虫剤である。
  5. トランスフルトリンは、常温揮散性を示す薬剤である。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

この設問は、(2)は重要事項であり、(1)と(4)もたまに出題される内容ですが、(3)と(5)は出題傾向から見ると珍しい文章です。よって、最低限(2)を除く4択、できれば(1)と(4)も除く2択まで絞れれば、あとは運任せにしてしまっても仕方ないと思います。

一応、以下に各選択肢の解説をします。

(1)で、ピレスロイド剤を液化炭酸ガスに溶解し、ボンベに封入した製剤があります。有機リン剤にはそのようなものがないので、(1)は誤りです。「有機リン剤」を「ピレスロイド剤」に直せば正しい文章となります。

(2)も誤りです。これは(1)とは反対で、今度は「ピレスロイド剤」を「有機リン剤」に直せば正しい文章となります。

有機リン剤は神経伝達物質(アセチルコリン)の分解酵素を阻害し、体内のアセチルコリンを過剰にさせる作用があります。急性毒性が強いため、蘇生する確率もあまり高くはありません(そのまま死亡する傾向が強いです)。一方、ピレスロイド剤は蘇生する傾向が強いです。

(3)で、油剤は、有効成分をケロシンに溶かしたものです。乳化剤は含まれていません。乳化剤は水にも油にも溶ける性質を持ちますが、油剤は油には溶け、水には溶けません。よって、(3)も誤りです。

(4)で、プロペタンホスは非対称型有機リン剤で、マイクロカプセル(MC)剤の形で使われるのが有名です。よって、カーバメート系殺虫剤ではないので、(4)も誤りです。

(5)で、トランスフルトリンはピレスロイド剤であり、常温揮散性を示します。よって、(5)は正しいですが、マイナーな知識なので難易度は高いといえます。

以上から、正解は(5)です。

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