ビル管理士試験 2021年 問63 問題と解説

 問 題     

冷水コイルによる空気冷却に関する次の文章の(  )内に入るものの組合せとして、最も適当なものはどれか。

湿り空気線図上で、冷水コイル入口空気の状態点をA、コイル出口空気の状態点をBとし、乾球温度がA点と等しく、かつ絶対湿度がB点と等しい状態点をCとする。

A点、B点、C点の比エンタルピーをそれぞれhA、hB、hCとし、冷水コイルを通過する空気の質量流量をG[kg/h]とすると、冷水コイルによる除去熱量の潜熱分は( ア )、顕熱分は( イ )で表される。

  •   ア      イ
  1. G(hA-hB)  G(hA-hC)
  2. G(hA-hC)  G(hA-hB)
  3. G(hA-hC)  G(hC-hB)
  4. G(hC-hB)  G(hA-hB)
  5. G(hC-hB)  G(hA-hC)

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

潜熱と顕熱については、温度変化を伴う熱が顕熱、状態変化のように温度変化のない熱が潜熱です。空調機で状態変化するものといえば湿気(水と水蒸気)なので、空調機における全熱・顕熱・潜熱はそれぞれ次のように関連付けて覚えてください。

  • 全熱:温度と湿度
  • 顕熱:温度
  • 潜熱:湿度

ちなみに、問題文に「点Cは乾球温度がA点と等しく、絶対湿度がB点と等しい」とあることからもわかる通り、湿り空気線図では横軸が乾球温度、縦軸が絶対湿度を表します。

以上から、( ア )は除去熱量の潜熱分を求めたいので、湿度の差に注目することになります。逆に、温度については考えないようにしたいので、温度が同じで湿度が異なる点Aと点Cの差を計算に用いるのが適切です。

一方、( イ )は除去熱量の顕熱分を求めたいので、温度の差に注目することになります。逆に、湿度については考えないようにしたいので、温度が異なり湿度が同じである点Bと点Cの差を計算に用いるのが適切です。

よって、選択肢から( ア )には「G(hA-hC)」が、( イ )には「G(hC-hB)」が入ると判断できるので、正解は(3)となります。

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