ビル管理士試験 2020年 問162 問題と解説

 問 題     

建築物内廃棄物に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。

  1. 家庭から排出される廃棄物より、事務所建築物から排出される廃棄物の方が、単位容積質量値は大きい。
  2. 厨芥(ちゅうかい)とは、紙くずと雑芥を混合したものである。
  3. 感染性廃棄物は、長期間の保管を考慮して保管場所を決める。
  4. 建築物内に診療所がある場合は、建築物所有者が特別管理産業廃棄物管理責任者を置かなければならない。
  5. 紙くず類の収集は、一般にカンバス製のコレクタが用いられる。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

(1)は、自宅から出るごみの種類と会社の事務所から出るごみの種類を具体的に想像するとわかりやすいと思います。

家庭ごみは生ごみが多く、水分を含んでいるためにそれなりに重いです。

一方、事務所から出るごみは紙類が多くなっています。紙類もきちんと束ねてあればそれなりの比重がありますが、実際には紙の大きさも向きも気にせずバラバラと捨てられることが多く、また、シュレッダーに掛けたものだと、ふわふわして、より比重が軽くなります。

よって、比重(単位容積質量値)を比較したときは家庭ごみのほうが事務所から出るごみよりも大きいため、(1)の記述は反対になります。

(2)に関して、厨芥(ちゅうかい)の「厨」は厨房の厨で、「芥」はあくたと読んで「ごみ」のことです。要するに、厨芥とは、野菜の皮や食べ残しなど「生ごみ」のことを指します。

ちなみに、雑芥というのは紙くずと厨芥を混合したものをいうので、(2)の文章は「厨芥」と「雑芥」を入れ替えれば正しい記述になります。

(3)で、感染性廃棄物のようなリスクの高い廃棄物は、長期間保管せず、なるべく早めに運搬するように考慮します。

感染性廃棄物の保管場所としては、関係者以外立ち入れないような場所を選び、また、感染性廃棄物と他の廃棄物とを区別して保管しなければいけません。さらに、関係者の見やすい箇所に感染性廃棄物の存在を表示するとともに、取り扱いの注意事項を記載する必要があります。

(4)で、診療所では、血液の付いたガーゼや注射針など、感染源となり得る廃棄物が発生します。これらは特別管理廃棄物に分類されるので、診療所には特別管理産業廃棄物管理責任者を置かなくてはいけません。

しかし、建築物の所有者はあくまでテナントとして場所を貸し出しているだけなので、その中で診療所を開く場合には、診療所側で特別管理産業廃棄物管理責任者を置くことになります。よって、(4)の「建築物の所有者」の部分が誤りです。

(5)は記述の通りなので、正解は(5)となります。

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