ビル管理士試験 2020年 問112 問題と解説

 問 題     

給水設備に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。

  1. 総合病院における1日当たりの設計給水量は、150~350L/床とする。
  2. 受水槽の有効容量は、一般に1日最大使用量の1/10とする。
  3. 高層ホテルの給水系統でのゾーニングは、上限水圧を0.5MPaとなるようにする。
  4. 直結増圧方式は、引込み管に増圧ポンプユニットを設けて水圧を高くし、中層建築物に適用できるようにした方式である。
  5. 高置水槽方式は、他の給水方式に比べて水質汚染の可能性が低い方式である。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

この問題は、いずれの選択肢も頻出なので、その内容を正確に押さえておきたいところです。

(1)で、各施設の設計給水量は次のようになっています。誤りの選択肢として出題される場合は、極端に数値が異なるはずなので、下記の数値は大まかに把握しておけば大丈夫です。

  • 集合住宅  :200~350 L/人
  • 事務所・工場:60~100 L/人
  • 事務所(節水):40~60 L/人
  • 学校    :70~100 L/人
  • 病院    :1500~3500 L/床
  • ホテルの客室:350~450 L/床
  • 社員食堂  :25~50 L/食
  • デパート  :15~30 L/m2

よって、(1)は誤りです。病院では多くの水量を見込んでおく必要があります。

なお、もしこれらが誤りの記述として出題されるときには、極端に数字が違うはずです(たとえば桁が違うなど)。そのため、上記の値を正確に覚える必要はありませんが、何となくこのくらい…程度には把握しておくことが求められます。

(2)で、受水槽・高置水槽の有効容量は、それぞれ次の通りとなります。

  • 受水槽の有効容量 :1日最大使用水量の1/2程度
  • 高置水槽の有効容量:1日最大使用水量の1/10程度

よって、(2)はの「1/10」は誤りで、「1/2」とするのが適切です。

(3)で、高層建築物では、1箇所から給水を行おうとすると、低い階層での水圧が高くなってしまいます。そこで、圧力を抑えるために上下の系統分けを行うのが一般的で、この系統分けのことをゾーニングといいます。

ゾーニングをした際の圧力の上限値はどのような建築物かによって大きく2つに分かれます。いずれも高層建築物での話ですが、今回はホテルが出題されています。ほかの建築物が出題されることもあるので、以下に示す建築物と圧力の数値はセットで押さえたい知識です。

  • ホテル・住宅  :0.3MPa以下
  • 事務所・商業施設:0.5MPa以下

以上から、(3)の「0.5MPa」が誤りで、正しくは「0.3MPa」となります。

(4)は正しい記述なので、これが正解です。

直結増圧方式は、増圧ポンプを設け、水圧を高くして中高層の建築物に適用できるようにした方式です。引込み管から直接各所に給水するので、受水槽を設ける必要がなく衛生的です。

(5)に関して、高置水槽は汚染のリスクが(比較的)高い方式です。その理由は、高置水槽自身が汚染される可能性と、その手前の受水槽が汚染される可能性があるためです。

圧力水槽方式とポンプ直送方式だと、高置水槽がなく受水槽のみなので、汚染リスクがやや下がります。

直結直圧方式や直結増圧方式は、水道直結方式なので(受水槽もないので)、さらに汚染のリスクが低くなります。

以上から、正解は(4)です。

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