ビル管理士試験 2020年 問2 問題と解説

 問 題     

現在の衛生行政組織に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。

  1. 地方において建築基準法を執行する行政機関である特定行政庁は、都道府県と建築主事を置く市町村及び特別区である。
  2. 学校保健行政の地方行政事務は、私立の学校を含め都道府県及び市町村の教育委員会が責任を負っている。
  3. 労働衛生行政は、中央は厚生労働省、地方は都道府県が分担して行っている。
  4. 下水道行政は国土交通省の所管であるが、終末処理場の維持管理は厚生労働省が所管している。
  5. 保健所の数を設置自治体別にみると、地域保健法施行令により保健所を設置する、いわゆる政令市の設置する保健所が最も多い。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

(1)で、特定行政庁とは、建築主事を置く市区町村ではそこの長であり、それ以外の市町村では都道府県知事となります。

用語の厳密な定義としては上記のように市長や区長、知事などの個人を指すのですが、実際には(1)の記述にあるように市や区、県といった行政機関を指して特定行政庁と呼ぶこともあります。

よって、(1)の記述は正しいといえます。

厳密な定義と合っていないことが気になる人もいるかもしれませんが、(2)~(5)の記述が明確に誤りであるため、この中で最も適当なものを選ぶなら(1)であると判断したいところです。

(2)で、都道府県及び市町村の教育委員会が責任を負うのは、公立の学校の場合のみです。国立と私立の学校は対象外なので、(2)は誤りです。

細かい話をすると、国立の学校保健行政は文部科学省、私立の学校保健行政は知事部局が責任を負うことになります。ただし、試験対策としてここまでカバーする必要はないと思います。

(3)で、労働衛生行政は厚生労働省の所管であり、中央・地方を通じて国が直接的に行政を行っています。実際には都道府県ごとに都道府県労働局がありますが、決して都道府県に権限を移譲しているわけではなく、国(厚生労働省)が一元的に行政を行っています。

(4)で、下水道は国土交通省の所管です。ただし、下水道の終末処理場の維持管理に関することは環境省と国土交通省の共管です。よって、(4)の後半部分が誤っています。

(5)で、保健所の多くは都道府県が設置しています。政令市などの一部の市と特別区では、市や区が独自で設置していますが、全体からいえばその割合は少ないです。

以上から、正解は(1)となります。

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