電験三種 R5年度下期 機械 問15 問題と解説

 問 題     

定格出力15kW、定格周波数60Hz、4極の三相誘導電動機があり、トルク一定の負荷を負って運転している。この電動機について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) 定格回転速度1746min-1で運転しているときの滑り周波数の値[Hz]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 1.50
  2. 1.80
  3. 1.86
  4. 2.10
  5. 2.17

(b) インバータにより一次周波数制御を行って、一次周波数を40Hzとしたときの回転速度[min-1]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

ただし、滑り周波数は一次周波数にかかわらず常に一定とする。

  1. 1146
  2. 1164
  3. 1433
  4. 1455
  5. 1719

 

 

 

 

 

正解 (a)-(2), (b)-(1)

 解 説    

(a)

設問(a)で問われているのは滑り周波数fs[Hz]の値です。これは、一次周波数f[Hz]と滑りsの積で表されます。

上式より、一次周波数f[Hz]と滑りsの値がわかれば答えが得られます。fについては、定格運転時の周波数が問題文で与えられているため、f=60[Hz]です。そのため、以下ではsの値を求めていきます。

滑りsは以下の計算式で定義されます。これは重要な公式なので、ぜひ覚えておいてください。

  • s:滑り(単位なし)
  • Ns:同期速度(回転磁界の速度) [min-1]
  • N:回転速度(回転子の速度) [min-1]

上式のうち同期速度Nsは今のところ未知数ですが、これは以下に示す(3)式で計算することができます。これも(2)式の滑りの公式と同様、積極的に覚えておくべき重要公式のひとつです。

  • Ns:同期速度 [min-1]
  • p:磁極の数 [極]
  • f:周波数 [Hz]

(2)式に問題文で与えられた数値を代入してNsを算出し、さらにそれを(3)式に代入すれば、次に示すようにsを計算できます。

(5)式の結果を(1)式に代入すれば、求めたい滑り周波数fsを算出することができます。

よって、正解は(2)となります。

(b)

設問(b)で問われているのは回転速度N'[min-1]の値です。これは設問(a)の解説にある(2)式を使って求めることができます。各種条件が設問(a)とは異なるので、「’」を付けた形で以下の(7)式として再掲します。

上式において、s’については(1)式を使って以下の(8)式のように算出できます。なお、問題文より「滑り周波数は一次周波数にかかわらず常に一定」なので、fsの値は設問(a)の答えをそのまま使うことができます。

一方、Ns‘については(3)式を使って以下の(9)式のように算出できます。

よって、(8)式と(9)式の結果を(7)式に代入すれば、求めたい回転速度N’を算出することができます。

よって、正解は(1)となります。

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