電験三種 R5年度上期 機械 問6 問題と解説

 問 題     

次のような三相同期発電機がある。

  • 1極当たりの磁束:0.10Wb
  • 極数       :12
  • 1分間の回転速度:600min-1
  • 1相の直列巻数 :250
  • 巻線係数     :0.95
  • 結線       :Y(1相のコイルは全部直列)

この発電機の無負荷誘導起電力(線間値)の値[kV]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

ただし、エアギャップにおける磁束分布は正弦波であるものとする。

  1. 2.09
  2. 3.65
  3. 6.33
  4. 11.0
  5. 19.0

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

問われているのは「三相同期発電機の無負荷誘導起電力(線間値)の値」ですが、三相同期発電機の誘導起電力といえば、まずは内部誘導起電力の式を思い出してほしいところです。

三相同期発電機の一相あたりの内部誘導起電力(相電圧実効値)は、以下の式で表すことができます。なお、内部誘導起電力とは、同期電動機の電機子端子電圧(相電圧実効値)から電機子電流の影響を除いた電圧です。

  • E:内部誘導起電力 [V] (1相あたりの相電圧実効値)
  • kw:巻線係数
  • f:周波数 [Hz]
  • Φ:磁束 [Wb] (1極あたり)
  • N:巻数 (1相あたり)

ただし、求めたい無負荷誘導起電力(線間値)Vと上記の内部誘導起電力(相電圧実効値)Eを比較すると、Vは問題文よりY結線の線間電圧であり、Eは(1)式より相電圧であることがわかります。つまり、VとEには次のような関係があります。

  • V:無負荷誘導起電力(線間値) [V]
  • E:内部誘導起電力(相電圧実効値) [V]

よって、(1)式の値を求めることができれば、それを(2)式に代入することによって答えが得られます。

なお、(1)式の右辺に出てくる各変数のうち、巻線係数kw、磁束Φ、巻数Nの値はすでに問題文で与えられています。一方で周波数fは未知数なので、以下の(3)式で示される同期速度の式を使って(4)式のように算出します。

  • Ns:同期速度 [min-1]
  • p:磁極の数 [極]
  • f:周波数 [Hz]

よって、(4)式を(1)式に代入し、さらに(2)式に代入することで、求めたい無負荷誘導起電力(線間値)Vを算出することができます。

以上から、正解は(4)となります。

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