問 題
人家が多く連なっている場所以外の場所であって、氷雪の多い地方のうち、海岸地その他の低温季に最大風圧を生じる地方に設置されている公称断面積60mm2、仕上り外径15mmの6600V屋外用ポリエチレン絶縁電線(6600V OE)を使用した高圧架空電線路がある。
この電線路の電線の風圧荷重について「電気設備技術基準の解釈」に基づき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし、電線に対する甲種風圧荷重は980Pa、乙種風圧荷重の計算で用いる氷雪の厚さは6mmとする。
(a) 低温季において電線1条、長さ1m当たりに加わる風圧荷重の値[N]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 10.3
- 13.2
- 14.7
- 20.6
- 26.5
(b) 低温季に適用される風圧荷重が乙種風圧荷重となる電線の仕上り外径の値[mm]として、最も大きいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 10
- 12
- 15
- 18
- 21
解 説
(a)
風圧荷重には、甲種風圧荷重、乙種風圧荷重、丙種風圧荷重、着雪時風圧荷重の4種類があります。どのような場合にどの風圧荷重を適用するかは、下表のような条件分けによって決まります。
よって、今回は「甲種風圧荷重又は乙種風圧荷重のいずれか大きいもの」になるので、甲種と乙種の両方を計算してみて、そのうち大きいほうが答えとなります。
また、甲種風圧荷重の計算式は、以下の(1)式で表されます。
- F:風圧荷重 [N]
- P:圧力 [N/m2]
- S:垂直投影面積 [m2]
一方、乙種風圧荷重も同じ式が使えますが、以下の2点を考慮する必要があります。
- 圧力は、甲種風圧荷重の0.5倍の数値とする。
- 垂直投影面積は、架渉線の周囲に厚さ6[mm]、比重0.9の氷雪が付着した状態で考える。
以上から、甲種風圧荷重F甲を(1)式を用いて計算すると、次に示す(2)式のようになります。なお、垂直投影面積は問題文より、縦が15×10-3[m]で横が1[m]の長方形の面積です。
続いて、乙種風圧荷重F乙を計算しますが、その前に垂直投影面積S乙を求める必要があります。架渉線の周囲に厚さ6[mm]の雪が付着するので、真横から見ると電線の上側と下側それぞれに6[mm]ずつ、計12[mm]分太くなっています。
つまり、垂直投影面積S乙は次の(3)式のように表すことができます。
よって、先ほど解説した乙種風圧荷重の計算方法を使うと、乙種風圧荷重F乙は次の(4)式のように計算することができます。
以上から、甲種風圧荷重F甲である(2)式と乙種風圧荷重F乙である(4)式の大きいほうを選べばよいので、甲種の14.7[N]を採用することになり、正解は選択肢(3)となります。
(b)
問題文には「低温季に適用される風圧荷重が乙種風圧荷重となる~」と書かれています。設問(a)で解説した通り、低温期に適用する風圧荷重は甲種と乙種の大きいほうとなるので、以下のような不等式が成り立ちます。
ここで、電線の仕上り外径をd[mm]とすると、(5)式は以下の(6)式のように表すことができます。
これをdについて解くと、以下の(7)式のようになります。
よって、外径は12[mm]以下であればよいので、正解は選択肢(2)です。
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