電験三種 R5年度上期 法規 問12 問題と解説

 問 題     

図は三相3線式高圧電路に変圧器で結合された変圧器低圧側電路を示したものである。低圧側電路の一端子にはB種接地工事が施されている。この電路の一相当たりの対地静電容量をCとし接地抵抗をRBとする。

低圧側電路の線間電圧200V、周波数50Hz、対地静電容量Cは0.1μFとして、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

ただし、

(ア) 変圧器の高圧電路の1線地絡電流は5Aとする。

(イ) 高圧側電路と低圧側電路との混触時に低圧電路の対地電圧が150Vを超えた場合は1.3秒で自動的に高圧電路を遮断する装置が設けられているものとする。

(a) 変圧器に施された、接地抵抗RBの抵抗値について「電気設備技術基準の解釈」で許容されている上限の抵抗値[Ω]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 20
  2. 30
  3. 40
  4. 60
  5. 100

(b) 接地抵抗RBの抵抗値を10Ωとしたときに、RBに常時流れる電流IBの値[mA]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

ただし、記載以外のインピーダンスは無視するものとする。

  1. 11
  2. 19
  3. 33
  4. 65
  5. 192

 

 

 

 

 

正解 (a)-(4), (b)-(1)

 解 説    

(a)

B種接地工事の接地抵抗値の上限値は、以下の表の通りとなります。これは重要事項として押さえておきたい内容です。

※ Igは、当該変圧器の高圧側又は特別高圧側の電路の1線地絡電流[A]

今回の場合、1.3秒で高圧電路を遮断するので、「300/Ig」を採用します。Igは問題文で5[A]と与えられているため、接地抵抗RBの抵抗値の上限は次のように計算できます。

よって、正解は(4)となります。

(b)

問題に記載されている三相回路(下図上側)は、下図下側のような等価回路に描き換えることができます。この変換は、鳳・テブナンの定理を用いて導出することができますが、やや複雑な計算となるので、この等価回路の形はそのまま覚えてしまうことをお勧めします。

並列に並んだコンデンサは単純に足し合わせることができるので、上図の等価回路は下図のように抵抗とコンデンサが直列に並んだ回路となります。

よって、この回路の合成インピーダンスZの大きさは以下のように算出されます。

以上から、オームの法則より、問われている電流IBの値は次のように計算することができます。

よって、正解は(1)です。

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