電験三種 R5年度上期 電力 問16 問題と解説

 問 題     

図のように、定格電圧66kVの電源から三相変圧器を介して二次側に遮断器が接続された系統がある。この三相変圧器は定格容量10MV・A、変圧比66/6.6kV、百分率インピーダンスが自己容量基準で7.5%である。

変圧器一次側から電源側をみた百分率インピーダンスを基準容量100MV・Aで5%とするとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) 基準容量を10MV・Aとして、変圧器二次側から電源側をみた百分率インピーダンスの値[%]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 2.5
  2. 5.0
  3. 7.0
  4. 8.0
  5. 12.5

(b) 図のA点で三相短絡事故が発生したとき、事故電流を遮断できる遮断器の定格遮断電流の最小値[kA]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし、変圧器二次側からA点までのインピーダンスは無視するものとする。

  1. 8
  2. 12.5
  3. 16
  4. 20
  5. 25

 

 

 

 

 

正解 (a)-(4), (b)-(2)

 解 説    

(a)

問題文に記載されている百分率インピーダンス(%Z)は2つ(5%と7.5%)ありますが、それぞれ基準とする容量が異なっています(100[MV・A]と10[MV・A])。よって、まずはこれらの基準を合わせる必要があります。

設問(a)では「二次側からみた%Z」が問われているので、二次側の10[MV・A]を基準とし、一次側の%Zをこれに合わせます。

ここで、%Zと容量は比例の関係にあるため、基準容量を10[MV・A]とした一次側の%Zは次のように計算できます。

よって、基準容量を10[MV・A]として、変圧器二次側から電源側をみた%Zは、次のようになります。

以上から、正解は(4)です。

(b)

問われているのは「事故電流を遮断できる遮断器の定格遮断電流の最小値」であるため、まずは事故電流(短絡電流)を計算によって求めます。ここで使うのが、%インピーダンス、定格電流、短絡電流をつなぐ式です。これは重要公式として押さえておいてください。

  • %Z:%インピーダンス [%]
  • I:定格電流 [A]
  • Is:短絡電流 [A]

(3)式のうち、すでに設問(a)で%Zは求めてあるので、IがわかればIsを算出することができます。そのため、以下ではIの導出について考えていきます。

基準容量Pは10[MV・A]、変圧器二次側の定格電圧Vは問題文より6.6[kV]なので、定格電流Iは電力の公式を使って計算することができます。

なお、事故点(A点)は変圧器の二次側なので、定格電流や定格電圧も変圧器の二次側で考えます。つまり、定格電圧は一次側の66[kV]ではなく二次側の6.6[kV]を使います。また、三相なので下式で√3を入れ忘れないように注意してください。

これらを踏まえると、Iは次の(4)式のように表すことができます。

以上から、%Zの値は設問(a)の(2)式で、Iの値は(4)式で求めることができたので、これを(3)式に代入して短絡電流Isを求めます。

よって、事故電流(短絡電流)は10.9[kA]となることがわかるので、これに用いる遮断器は、定格遮断電流が10.9[kA]以上のものを使えばよいことになります。

選択肢にある定格遮断電流のうち、10.9[kA]以上のもので最小なのは(2)の「12.5」であるため、正解は(2)となります。

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