電験三種 R5年度上期 電力 問11 問題と解説

 問 題     

22(33)kV配電系統に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 6.6kVの配電線に比べ電圧対策や供給力増強対策として有効なので、長距離配電の必要となる地域や新規開発地域への供給に利用されることがある。
  2. 電気方式は、地絡電流抑制の観点から中性点を直接接地した三相3線方式が一般的である。
  3. 各種需要家への電力供給は、特別高圧需要家へは直接に、高圧需要家へは途中に設けた配電塔で6.6kVに降圧して高圧架空配電線路を用いて、低圧需要家へはさらに柱上変圧器で200~100Vに降圧して、行われる。
  4. 6.6kVの配電線に比べ33kVの場合は、負荷が同じで配電線の線路定数も同じなら、電流は1/5となり電力損失は1/25となる。電流が同じであれば、送電容量は5倍となる。
  5. 架空配電系統では保安上の観点から、特別高圧絶縁電線や架空ケーブルを使用する場合がある。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

(1)は正しいです。配電する電力が同じ場合、電圧を高くできればその分電流を下げることができます。すると、配電に伴う電力損失Ploss=I2R[W]を小さくすることができるので、高電圧にすることは電圧対策や供給力増強対策として有効です。

そのため、長距離配電の必要となる地域や新規開発地域への供給には、6.6kV配電線系統よりも22(33)kV配電系統が利用されることが多いです。

(2)が誤りです。結論からいえば、22(33)kV配電系統の接地方式は(2)の記述にあるような「直接接地方式」ではなく、「抵抗接地方式」が採用されます。

直接接地方式では、中性点から大地までの間に抵抗などがなく、直接接続されています。抵抗Rがほぼ0であるため、地絡事故が起きた際の地絡電流I=E/R[A]はかなりの大電流となります。よって、直接接地方式では(2)に書かれているような「地絡電流抑制」が実現できません。

一方、抵抗接地方式は、中性点と大地との間に抵抗を設置する接地方式です。この場合には地絡電流I=E/R[A]のRがそこそこの値であるため、地絡電流を抑制することができます。

よって、地絡電流抑制の観点から、22(33)kV配電系統では、中性点を抵抗接地した三相3線方式が一般的です。

(3)は正しいです。22(33)kV配電系統なので、特別高圧需要家へは直接配電することができ、高圧需要家や低圧需要家へはそれらに応じて降圧してから配電することになります。

(4)も正しいです。(1)の解説の通り、33[kV]は6.6[kV]と比べると電圧5倍なので、負荷が同じなら電流は1/5となります。また、電力損失は電流の2乗なので、1/25となります。そして、電流が同じなら、電圧が5倍のため、送電容量も5倍となります。

(5)も正しいです。記述の通り、22(33)kVの架空配電系統では、特別高圧絶縁電線や架空ケーブルが使われます。

以上から、正解は(2)となります。

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