電験三種 R5年度上期 電力 問9 問題と解説

 問 題     

次の文章は、コロナ損に関する記述である。

送電線に高電圧が印加され、( ア )がある程度以上になると、電線からコロナ放電が発生する。コロナ放電が発生するとコロナ損と呼ばれる電力損失が生じる。

コロナ放電の発生を抑えるには、電線の実効的な直径を( イ )するために( ウ )する、線間距離を( エ )する、などの対策がとられている。

コロナ放電は、気圧が( オ )なるほど起こりやすくなる。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  •     (ア)     (イ)    (ウ)    (エ)  (オ)
  1. 電流密度       大きく  単導体化  大きく  低く
  2. 電線表面の電界強度  大きく  多導体化  大きく  低く
  3. 電流密度       小さく  単導体化  小さく  高く
  4. 電線表面の電界強度  小さく  単導体化  大きく  低く
  5. 電線表面の電界強度  大きく  多導体化  小さく  高く

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

コロナ放電が発生すると、電気エネルギーの一部が音、光、熱などに変換され、電力損失が生じます。この電力損失のことをコロナ損といいます。

コロナ放電の発生にはデメリットが多く、電力損失はもちろん、架空送電線近傍で誘導障害や受信障害が生じたり、電線や取り付け金具で腐食が生じたりすることもあります。よって、コロナ放電を極力抑えるような工夫が求められます。

コロナ放電は、電線表面電界がある値を超えると発生します。よって、( ア )には「電線表面の電界強度」が入ります。

つまり、電線表面電界が低くなればコロナ放電を抑えることができるので、太い電線を使うことや、電線同士の距離を離すことで電界を低くすることなどが有効です。がいし装置にシールドリングを取り付けるという方法もあります。

よって、( イ )には「大きく」が入ります。また、電線を多導体化すれば実質的に太い電線を用いていることになるので、( ウ )には「多導体化」が入ります。

( エ )も上記で説明した通り、電界を弱めるためには線間距離を「大きく」する必要があります。

( オ )はややマイナーな知識であるため、わからなくても仕方ないと思います。その場合でも( ア )~( エ )で適切な選択をすれば、正解の選択肢は一つに絞れます。

参考までに正解を示しておくと、コロナ放電は低気圧であるほど起こりやすいので、( オ )には「低く」が入ります。また、晴れよりは雨のときに発生しやすいという特徴もあります。

以上から、

  1. 電線表面の電界強度
  2. 大きく
  3. 多導体化
  4. 大きく
  5. 低く

となるので、正解は(2)です。

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