問 題
排熱回収形コンバインドサイクル発電方式と同一出力の汽力発電方式とを比較した記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- コンバインドサイクル発電方式の方が、熱効率が高い。
- 汽力発電方式の方が、単位出力当たりの排ガス量が少ない。
- コンバインドサイクル発電方式の方が、単位出力当たりの復水器の冷却水量が多い。
- 汽力発電方式の方が大形所内補機が多く、所内率が大きい。
- コンバインドサイクル発電方式の方が、最大出力が外気温度の影響を受けやすい。
解 説
コンバインドサイクル発電は、ガスタービン発電と汽力発電を繋げたような原理の発電方法です。具体的には、ガスタービン発電を普通に行い、そこから出る排熱を使って、次に続く汽力発電の蒸気を発生させます。
この設問では、問題文に「同一出力の汽力発電方式と比較した」とあるので、この点に注意しながら、各選択肢の正誤について考えていきます。
(1)は正しいです。コンバインドサイクル発電の場合、ガスタービン発電の排熱を捨てずに蒸気タービンで利用しているため、全体としての熱効率が高くなります。
(2)も正しいです。コンバインドサイクル発電のうち、1段目のガスタービン発電では燃料を燃焼させて発電しているので、燃料を燃やすための酸素(実際には空気)が必要です。一方で、汽力発電の蒸気タービンでは空気は必要ないため、汽力発電方式のほうが単位出力当たりの排ガス量が少なくなります。
(3)が誤りです。ガスタービン発電では燃料を燃焼させて発電しているので、復水は発生しません。一方で、汽力発電では蒸気でタービンを回転させるので、こちらは復水を生じます。
そのため、ガスタービンを用いない同一出力の汽力発電に比べると、コンバインドサイクル発電ではガスタービンで発電できる出力分の復水が発生しないため、復水器の冷却水量は少なくて済みます。
よって、(3)の記述は反対です。
(4)は正しいです。コンバインドサイクル発電方式は、汽力発電方式と比べて大型所内補機が少ないので、所内率が小さくなるという特徴があります。
たとえば、(3)にあるように復水器の冷却水量が少ないので、復水器が小さいもので済みます。同様の理由で、給水加熱器も小型化できます。また、(1)にあるように全体の熱効率が高いため、同一出力の汽力発電に比べると、その分所内率は小さくなります。
(5)も正しいです。ガスタービン発電では、燃料の燃焼させるために必ず酸素(空気)が必要です。
ここで、外気温が高いと空気は膨張して密度が小さくなり、外気温が低いと反対に空気の密度は大きくなります。つまり、外気温によってガスタービンが取り込める空気量が変動するため、それに応じて出力も変化します。
汽力発電の蒸気タービンでは空気を使用するわけではないので、このような影響は受けません。よって、コンバインドサイクル発電では、汽力発電と比べて最大出力が外気温度の影響を受けやすいといえます。
以上から、正解は(3)となります。
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