電験三種 R4年度下期 理論 問11 問題と解説

 問 題     

次の文章は、それぞれのダイオードについて述べたものである。

  1. 可変容量ダイオードは、通信機器の同調回路などに用いられる。このダイオードは、pn接合に( ア )電圧を加えて使用するものである。
  2. pn接合に( イ )電圧を加え、その値を大きくしていくと、降伏現象が起きる。この降伏電圧付近では、流れる電流が変化しても接合両端の電圧はほぼ一定に保たれる。定電圧ダイオードは、この性質を利用して所定の定電圧を得るようにつくられたダイオードである。
  3. レーザダイオードは光通信や光情報機器の光源として利用され、pn接合に( ウ )電圧を加えて使用するものである。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  • (ア)    (イ)   (ウ)
  1. 逆方向  順方向  逆方向
  2. 順方向  逆方向  順方向
  3. 逆方向  逆方向  逆方向
  4. 順方向  順方向  逆方向
  5. 逆方向  逆方向  順方向

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

aの文章は可変容量ダイオードに関する記述です。可変容量ダイオードは、空乏層の静電容量が逆電圧によって変化する性質を利用したダイオードです。

逆電圧の大きさを小さくしていくと静電容量は大きくなり、反対に、逆電圧の大きさを大きくしていくと静電容量は小さくなります。

よって、( ア )には「逆方向」を入れるのが適切です。

bの文章は定電圧ダイオードに関する記述です。定電圧ダイオードは、文字通り電圧を一定に保つことを目的として使われるダイオードです。

これは順電圧をかけている間は通常のダイオードと同じような挙動を示しますが、一定以上の逆電圧をかけたときに電流の急激な降伏現象が起こり、そうするとダイオードに流れる電流の大きさに関わらず、電圧がほぼ一定に保たれます。

よって、( イ )には「逆方向」を入れるのが適切です。

cの文章はレーザダイオードに関する記述です。レーザダイオードは、ダイオードのメカニズムを使ったレーザのことです。なお、レーザとは、単一波長で同位相の光がたくさん集まってできる、強力な電磁波のことです。

これもダイオードの一種なので、基本的にはpn接合ダイオードと似たような構造をしています。ただし、pn接合ダイオードがp形層とn形層の2層構造であるのに対し、こちらはその間に活性層がある3層構造となっています。

レーザダイオードに順電流を流すと、活性層の自由電子が正孔と再結合して消滅しますが、このときに光を放出します。この光が前後2つの反射鏡の間に閉じ込められることによって誘導放出が起きて、同じ波長の光が多量に生じ、外部にその一部がレーザ光として出力される…というのが、レーザダイオードの原理です。

よって、( ウ )には「順方向」が入ります。

以上から、( ア )には「逆方向」が、( イ )には「逆方向」が、( ウ )には「順方向」が入るので、正解は(5)となります。

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