電験三種 R4年度下期 機械 問8 問題と解説

 問 題     

単相変圧器がある。定格二次電圧200Vにおいて、二次電流が250Aのときの全損失が1525Wであり、同様に二次電圧200Vにおいて、二次電流が150Aのときの全損失が1125Wであった。

この変圧器の無負荷損の値[W]として、最も近いものを(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 400
  2. 525
  3. 576
  4. 900
  5. 1000

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

変圧器の損失には、負荷を掛けているときに生じる損失(負荷損=銅損)と、負荷があってもなくても発生する損失(無負荷損=鉄損)との2種類があります。

負荷損というのは銅損のことで(厳密には違いますが、電験三種の範囲では同じものと見なせます)、銅は電気を通しやすいので導線に使われるため、通電中に生じる損失だと覚えればよいと思います。また、銅損の大きさは負荷を流れる電流の2乗に比例します。

一方、無負荷損は鉄損のことで、鉄はコイルの鉄心などに使われていて、電流の有無に関わらず磁気は生じていることから、電流に関わらず損失が生まれると考えてください。鉄損の場合は、電流の大きさに関わらず、損失は一定の値をとります。

上記を踏まえて、ここから本問の解法について説明していきます。

まず、二次電流が250[A]のときの全損失をP(250)、負荷損をPc(250)、無負荷損をPiとし、二次電流が250[A]のときの全損失をP(150)、負荷損をPc(150)、無負荷損をPiとします。上記の解説の通り、無負荷損は電流によらず共通の値となります。

すると、P(250)とP(150)は、問題文より次の(1)式と(2)式で表すことができます。

ここで、冒頭の解説の通り、負荷損は電流の2乗に比例するので、次の(3)式が成り立ちます。

よって、(3)式を(2)式に代入すると、次の(4)式のようになります。

さらに、(1)をPc(250)=~の形に直した上で、(4)式に代入してPiについて解けば、問われている無負荷損Piの値を求めることができます。

よって、正解は(4)となります。

コメント