電験三種 R4年度下期 法規 問10 問題と解説

 問 題     

次の文章は、電気事業法及び電気事業法施行規則に基づく広域的運営に関する記述である。

電気事業者は、毎年度、電気の供給並びに電気工作物の設置及び運用についての( ア )を作成し、電力広域的運営推進機関(OCCTO)を経由して経済産業大臣に届け出なければならない。

具体的には、直近年における( イ )見通し、発電、受電(融通を含む。)等の短期的な内容に関するものと、長期( イ )見通し、電気工作物の( ウ )及びその概要、あるいは他者の電源からの長期安定的な調達等長期的な内容に関するものとがある。

また、電気事業者は、電源開発の実施、電気の供給等その事業の遂行に当たり、広域的運営による電気の( エ )のために、相互に協調しなければならないことが定められている。

広域的運営による相互協調の具体的な例として、A地方に太陽電池発電や風力発電などの発電量を調整できない再生可能エネルギーが大量に導入された場合において、A地方における電圧、周波数を維持する観点から、A地方で消費しきれない電気を隣接するB地方に融通するといった( オ )事業者間の広域運営による相互協調がある。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  •  (ア)   (イ)   (ウ)     (エ)     (オ)
  1. 供給計画  経営  新増設   コスト低減  一般送配電
  2. 需要計画  需要  新増設   コスト低減  発電
  3. 供給計画  需要  新増設   安定供給   一般送配電
  4. 需要計画  経営  補修計画  コスト低減  発電
  5. 供給計画  需要  補修計画  安定供給   発電

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

( ア )の選択肢には「供給計画」と「需要計画」がありますが、これは電気を供給する側である電気事業者が、経済産業大臣に提出する計画書の話です。そのため、電気事業者が自分たちで計画・実行できるのは供給に関することであり、需要については見積もることはできても、それをコントロールすることはできません。

よって、( ア )には「供給計画」を入れるのが適切です。

( イ )で、供給計画を策定するにあたっては、需要量の見通しを立てた上で供給量を決める必要があります。これは、必要とされる量もわからずに供給計画を立ててしまうと、極端な過不足が生じてしまう可能性があるためです。

よって、( イ )には「需要」が入ります。

( ウ )に関しては「新増設」と「補修計画」のどちらを入れても正しそうな文章となるので、判断が難しいかもしれません。もしこれをスルーしても、ほかの穴埋めをきちんと答えられれば正解できるため、この部分に関する正確な知識を持っていなくても、あまり気にしなくてよいと思います。

一応正解を示しておくと、( ウ )には「新増設」が入ります。( ウ )を含む文章では長期計画のことが書かれて、その要素の一つとして、新増設に関することが挙げられます。

選択肢にある「補修計画」について、直近で予定している補修計画によって供給量が増減するのであれば、これは「長期的な内容に関するもの」ではなく「短期的な内容に関するもの」に当てはまります。

( エ )で、広域的運営については、相互協調の具体的な例が問題文の( オ )を含む文章に書かれている通り、電気が余っているところから足りないところへ融通できるのが最大のメリットです。

つまり、広域的運営によって電気の安定供給が実現できるため、( エ )には「安定供給」を入れるのが適切です。コスト削減ができるのも望ましい話ですが、これは至上命題ではありません。

( オ )については、文章の流れが「電気をA地方からB地方に融通する」という話になっているため、これは送電に関する事項です。そのため、相互協調の形としては、A地方の送電事業者とB地方の送電事業者による協調であるので、これは一般送配電事業者間の広域運営といえます。

よって、( オ )には「一般送配電」が入ります。

以上から、( ア )は「供給計画」、( イ )は「需要」、( ウ )は「新増設」、( エ )は「安定供給」、( オ )は「一般送配電」となるので、正解は(3)です。

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