電験三種 R4年度下期 法規 問9 問題と解説

 問 題     

次の文章は、図に示す高圧受電設備において全停電作業を実施するときの操作手順の一例について、その一部を述べたものである。

  1. ( ア )を全て開放する。
  2. ( イ )を開放する。
  3. 地絡方向継電装置付高圧交流負荷開閉器(DGR付PAS)を開放する。
  4. ( ウ )を開放する。
  5. 断路器(DS)の電源側及び負荷側を検電して無電圧を確認する。
  6. 高圧電路に接地金具等を接続して残留電荷を放電させた後、誤通電、他の電路との混触又は他の電路からの誘導による感電の危険を防止するため、断路器(DS)の( エ )に短絡接地器具を取り付けて接地する。
  7. 断路器(DS)、開閉器等にはそれぞれ操作後速やかに、操作禁止、投入禁止、通電禁止等の通電を禁止する表示をする。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  •    (ア)         (イ)         (ウ)      (エ)
  1. 負荷開閉器(LBS)    断路器(DS)     真空遮断器(VCB)   負荷側
  2. 配線用遮断器(MCCB)  断路器(DS)     真空遮断器(VCB)   負荷側
  3. 配線用遮断器(MCCB)  真空遮断器(VCB)   断路器(DS)     電源側
  4. 負荷開閉器(LBS)    断路器(DS)     真空遮断器(VCB)   電源側
  5. 負荷開閉器(LBS)    真空遮断器(VCB)   断路器(DS)     負荷側

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

高圧受電設備の全停電作業は、高圧電路に残留電荷がないことを確認し、短絡接地器具を取り付けることで安全を確保する作業です。

一般的な操作手順は以下の通りとなりますが、基本的には、低圧側(負荷側)から高圧側(電源側)に向かって作業をしていく流れとなります。本設問に関しては、この「低圧側(負荷側)→高圧側(電源側)」という順番を守るだけで正解することができます。

  1. 低圧側の負荷を停止する。
  2. 配線用遮断器(MCCB)を全て開放する。
  3. 真空遮断器(VCB)を開放する。
  4. 気中負荷開閉器(PAS)または地中線用負荷開閉器(UGS)を開放する。これで建物内の全ての場所が停電する。
  5. 断路器(DS)を開放する。
  6. 断路器(DS)の電源側及び負荷側を検電して無電圧を確認する。
  7. 無電圧が確認できたら、放電用接地棒を用いて高圧電路の残留電荷を除去する。
  8. 断路器(DS)は接点部分がむき出しになっているので、電源側に短絡接地器具を取り付けて接地する。
  9. 仕上げとして、断路器(DS)や開閉器などに通電を禁止する旨の表示をする。

以上を踏まえて、( ア )、( イ )、( ウ )は低圧側(負荷側)から順に操作していけばよいので、それぞれ「配線用遮断器(MCCB)」、「真空遮断器(VCB)」、「断路器(DS)」を選ぶのが適切です。

( エ )は短絡接地器具を断路器(DS)の負荷側・電源側のどちらに取り付けるかという問題です。短絡接地器具は、万が一高圧電路に送電された場合に、電流を大地に逃がすことで作業者の安全を確保するためのものなので、高圧側である「電源側」に取り付けるのが正しいです。

よって、( ア )は「配線用遮断器(MCCB)」、( イ )は「真空遮断器(VCB)」、( ウ )は「断路器(DS)」、( エ )は「電源側」となるので、正解は(3)です。

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