問 題
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく低圧屋内配線の金属ダクト工事に関する記述である。
a) ダクトに収める絶縁電線の断面積(絶縁被覆の断面積を含む。)の総和は、ダクトの内部断面積の( ア )%以下であること。ただし、電光サイン装置、出退表示灯その他これらに類する装置又は制御回路等(自動制御回路、遠方操作回路、遠方監視装置の信号回路その他これらに類する電気回路をいう。)の配線のみを収める場合は、( イ )%以下とすることができる。
b) ダクト相互は、堅ろうに、かつ、( ウ )に完全に接続すること。
c) ダクトを造営材に取り付ける場合は、ダクトの支持点間の距離を3m(取扱者以外の者が出入りできないように措置した場所において、垂直に取り付ける場合は、6m)以下とし、堅ろうに取り付けること。
d) 低圧屋内配線の( エ )電圧が300V以下の場合は、ダクトには、D種接地工事を施すこと。
e) 低圧屋内配線の( エ )電圧が300Vを超える場合は、ダクトには、C種接地工事を施すこと。ただし、( オ )防護措置(金属製のものであって、防護措置を施すダクトと( ウ )に接続するおそれがあるもので防護する方法を除く。)を施す場合は、D種接地工事によることができる。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- (ア) (イ) (ウ) (エ) (オ)
- 20 50 電気的 使用 接触
- 32 48 電気的 対地 簡易接触
- 32 48 機械的 使用 接触
- 32 48 機械的 使用 簡易接触
- 20 50 電気的 対地 簡易接触
解 説
本問は、「電気設備技術基準の解釈」第162条(金属ダクト工事)からの出題です。
金属ダクト工事において、施工の際の決まりごとのうち、主だったものを以下に列挙します。
- 電線は、原則として絶縁電線であること。
- ダクトに収める電線の断面積の総和は、ダクトの内部断面積の20%以下であること。
- ダクト内では、電線に接続点を設けないこと。
- ダクト相互は、堅ろうに、かつ、電気的に完全に接続すること。
- ダクトのふたは、容易に外れないように施設すること。
- 低圧屋内配線の使用電圧が300V以下の場合は、ダクトには、D種接地工事を施すこと。
- 低圧屋内配線の使用電圧が300Vを超える場合は、ダクトには、C種接地工事を施すこと。
( ア )と( イ )では占積率が問われています。金属ダクトに収める電線は数も多く屋内配線の重要な部分を構成しているので、事故の波及を避けること、点検を容易にすること、電線からの発熱などを考慮して数値が定められています。
ここで、上記の2.より( ア )には「20」が入ると判断することができます。( イ )については上記には記載していませんが、「50」が入ります。こちらはマイナーな知識であるので、気にしなくてよいと思います。
( ウ )について、上記の4.より「電気的」を選ぶのが適切です。
「機械的」でも悪くなさそうですが、それでは( ウ )の直前にある「堅ろうに」と意味合いが被ってしまいます。また、配線のためのダクト工事の話なので、電気的な接続が重要です。
( エ )について、上記の6.と7.より「使用」が入ります。
使用電圧が300[V]を超える低圧の電路に接続される電気機器に対して行うのがC種接地工事、使用電圧が300[V]以下の低圧の電路に接続される電気機器に対して行うのがD種接地工事となります。これは低圧屋内配線の金属ダクト工事に限らず、どのC種、D種接地工事でも共通のルールです。
( オ )に関して、接触防護措置は、比較的電圧の高い配線(300[V]超)などに施す措置であり、簡易接触防護措置は、電気機械器具や比較的電圧の低い配線(300[V]以下)などに施す措置です。これらの定義や違いについてより詳しく知りたい場合は、H26年 問7の解説を参照してください。
よって、( オ )では300[V]を超える配線に施す措置の話をしているので、「接触防護措置」とするのが正しいと判断できます。つまり、( オ )には「接触」が入ります。
以上から、( ア )は「20」、( イ )は「50」、( ウ )は「電気的」、( エ )は「使用」、( オ )は「接触」となるので、正解は(1)です。
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