電験三種 R4年度下期 法規 問6 問題と解説

 問 題     

次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく高圧屋内配線に関する記述である。

高圧屋内配線は、( ア )工事(乾燥した場所であって展開した場所に限る。)又はケーブル工事により施設すること。

ケーブル工事による高圧屋内配線で、防護装置としての金属管にケーブルを収めて施設する場合には、その管に( イ )接地工事を施すこと。

ただし、接触防護措置(金属製のものであって、防護措置を施す設備と電気的に接続するおそれがあるもので防護する方法を除く。)を施す場合は、D種接地工事によることができる。

高圧屋内配線が、他の高圧屋内配線、低圧屋内配線、管灯回路の配線、弱電流電線等又は水管、ガス管若しくはこれらに類するもの(以下この問において「他の屋内電線等」という。)と接近又は交差する場合は、次のa)、b)のいずれかによること。

a) 高圧屋内配線と他の屋内電線等との離隔距離は、( ウ )(( ア )工事により施設する低圧屋内電線が裸電線である場合は、30cm)以上であること。

b) 高圧屋内配線をケーブル工事により施設する場合においては、次のいずれかによること。

    1. ケーブルと他の屋内電線等との間に( エ )のある堅ろうな隔壁を設けること。
    2. ケーブルを( エ )のある堅ろうな管に収めること。
    3. 他の高圧屋内配線の電線がケーブルであること。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  •  (ア)    (イ)  (ウ)   (エ)
  1. がいし引き  A種  15cm  耐火性
  2. 合成樹脂管  C種  25cm  耐火性
  3. がいし引き  C種  15cm  難燃性
  4. 合成樹脂管  A種  25cm  難燃性
  5. がいし引き  A種  15cm  難燃性

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

本問は、「電気設備技術基準の解釈」第168条(高圧配線の施設)からの出題です。低圧屋内配線の施設は頻出テーマですが、本問は高圧屋内配線の施設がテーマとなっているので、やや難易度の高い問題といえます。

( ア )に関して、高圧屋内配線は「ケーブル工事」を原則としていますが、乾燥した場所かつ展開した場所で、接触防護措置を施したときに限り「がいし引き工事」も認められています。

よって、( ア )には「がいし引き」が入ります。

選択肢にある「合成樹脂管」は、腐食しにくく電気的絶縁性能に優れていますが、機械的衝撃や熱に弱いという短所があります。そのため、合成樹脂管工事は一般の使用場所では認められていますが、高圧屋内配線などの特殊な場所では禁止されています。

( イ )に関して、接地工事にはA種~D種の4つがありますが、それぞれの概要は次の通りです。

  • A種接地工事とは、高圧や特別高圧のような高い電圧で使用する電気機器に対して行う接地工事です。
  • B種接地工事は、低圧の電路と高圧(or特別高圧)の電路が接触する際、低圧側の電圧を異常に上昇させないようにするために行う接地工事です。
  • C種接地工事は、300[V]を超える低圧の電路に接続される電気機器に対して行う接地工事です。
  • D種接地工事は、300[V]以下の低圧の電路に接続される電気機器に対して行う接地工事です。

よって、今回は高圧屋内配線の話をしているので、( イ )には「A種」を入れるのが適切であると判断できます。

( ウ )は知識問題ですが、高圧屋内配線と他の屋内電線などとの離隔距離は「15cm以上」必要となります。ただし、低圧屋内配線については裸線を使用したがいし引き工事の場合があるので、その場合は「30cm以上」の離隔距離が必要です。

よって、( ウ )には「15cm」が入ります。

( エ )に関して、上記の通り、高圧屋内配線と他の屋内電線などとの離隔距離は15cm以上が必要です。これは火災を防止するために必要な距離ですが、耐火性の隔壁や管などを使って火災のリスクをなくせる場合には、その離隔距離を確保しなくても構わなくなります。

よって、( エ )には「耐火性」が入ります。

選択肢には「難燃性」もありますが、耐火性(=燃えない)に比べて難燃性(=燃えにくい)のほうが火災を防止する性能は低いです。

この設問(高圧配線)に限らず、電験三種試験で耐火性か難燃性か迷ったら、「耐火性」を選んでおけば十中八九正解できると思います。しかし、きちんと判断したいという場合は、以下の基準を参考にしてください。

【火災を防止するための措置】

  • 2つの電線の間を耐火性(不燃性)の隔壁などで仕切る
  • 2つの電線の一方に、耐火性(不燃性)の管や被覆などを用いる
  • 2つの電線の両方に、難燃性の管や被覆などを用いる

要するに、耐火性(不燃性)のものを使えば1つの対策で大丈夫ですが、難燃性のものを用いるのであればそれぞれに対策をしなければならないということです。

以上から、( ア )は「がいし引き」、( イ )は「A種」、( ウ )は「15cm」、( エ )は「耐火性」となるので、正解は(1)です。

コメント