電験三種 R4年度下期 法規 問5 問題と解説

 問 題     

次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく低高圧架空電線等の併架に関する記述の一部である。

低圧架空電線と高圧架空電線とを同一支持物に施設する場合は、次のいずれかによること。

  1. 次により施設すること。
    1. 低圧架空電線を高圧架空電線の( ア )に施設すること。
    2. 低圧架空電線と高圧架空電線は、別個の( イ )に施設すること。
    3. 低圧架空電線と高圧架空電線との離隔距離は、( ウ )m以上であること。ただし、かど柱、分岐柱等で混触のおそれがないように施設する場合は、この限りでない。
  2. 高圧架空電線にケーブルを使用するとともに、高圧架空電線と低圧架空電線との離隔距離を( エ )m以上とすること。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  • (ア)  (イ)  (ウ)  (エ)
  1. 上  支持物  0.5  0.5
  2. 上  支持物  0.5  0.3
  3. 下  支持物  0.5  0.5
  4. 下  腕金類  0.5  0.3
  5. 下  腕金類  0.3  0.5

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

本問は、「電気設備の技術基準の解釈」第80条(低高圧架空電線等の併架)1項からの出題です。

( ア )は、低圧架空電線と高圧架空電線の両方を施設する場合、どちらが上でどちらが下にするかという問題です。これは、感電したときの危険性がより高い高圧架空電線を地上からなるべく離しておきたいので、高圧架空電線が上、低圧架空電線が下とするのが望ましいです。

よって、低圧架空電線を高圧架空電線の下に施設するべきなので、( ア )には「下」が入ります。

( イ )で、選択肢には「支持物」と「腕金類」がありますが、これらは次に示すようなものです。

  • 支持物:架空電線を支えるために設置される電柱や鉄塔などのことで、遠心成形でコンクリートを締め固めた鉄筋コンクリート柱が一般的に使用されています。また、電線と支持物との間に「がいし」を取り付けることで、両者は絶縁されています。
  • 腕金類:電線を支持するために電柱に取り付ける棒状の金属製の部品のことです。

以上から、腕金類は金属製の部品なので、同じ腕金類に低圧架空電線と高圧架空電線を施設するのは感電や火災のリスクが高く、危険です。そのため、両者には別個の腕金類を用いて電気的に隔離する必要があります。

よって、( イ )には「腕金類」が入ります。

なお、この設問では問題文に「低圧架空電線と高圧架空電線とを同一支持物に施設する場合は、次のいずれかによること。」とあります。もしも( イ )で「支持物」を選んだら、「別個の支持物に施設すること。」となり、問題文との間に矛盾が生じます。よって、消去法でも「腕金類」が正しいことがわかります。

( ウ )と( エ )は知識として知っていれば、( ウ )に「0.5」、( エ )に「0.3」が入ることがわかるはずです。しかし、これを知らない場合でも、選択肢から正解を推測することができます。

まず、( ウ )と( エ )の選択肢には「0.3」または「0.5」があります。

ここで、もし選択肢(1)や(3)のように( ウ )にも( エ )にも「0.5」が入るのであれば、高圧架空電線にケーブルを使用するかどうかで、わざわざ条文を2つに分ける必要がありません。そう考えると、( ウ )と( エ )には異なる数値が入ると推測できます。

また、高圧架空電線にケーブルを使ったほうが安全性が高まることから、ケーブルを使えば離隔距離は少し短くても大丈夫だと推測できます。よって、( ウ )と( エ )では、( ウ )のほうが大きな数値になると考えられます。

よって、選択肢から、( ウ )には「0.5」を、( エ )には「0.3」を入れるのが適切であると判断することができます。

以上から、( ア )は「下」、( イ )は「腕金類」、( ウ )は「0.5」、( エ )は「0.3」となるので、正解は(4)です。

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