電験三種 R4年度下期 法規 問3 問題と解説

 問 題     

次の文章は、「電気設備技術基準」における高圧又は特別高圧の電気機械器具の危険の防止に関する記述である。

  1. 高圧又は特別高圧の電気機械器具は、( ア )以外の者が容易に触れるおそれがないように施設しなければならない。ただし、接触による危険のおそれがない場合は、この限りでない。
  2. 高圧又は特別高圧の開閉器、遮断器、避雷器その他これらに類する器具であって、動作時に( イ )を生ずるものは、火災のおそれがないよう、木製の壁又は天井その他の( ウ )の物から離して施設しなければならない。ただし、( エ )の物で両者の間を隔離した場合は、この限りでない。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  • (ア)    (イ)   (ウ)   (エ)
  1. 取扱者  過電圧  可燃性  難燃性
  2. 技術者  アーク  可燃性  耐火性
  3. 取扱者  過電圧  耐火性  難燃性
  4. 技術者  アーク  耐火性  難燃性
  5. 取扱者  アーク  可燃性  耐火性

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

本問は、「電気設備技術基準」第9条(高圧又は特別高圧の電気機械器具の危険の防止)からの出題です。

( ア )について、この条文に限らず、「電気設備技術基準」や「電気設備の技術基準の解釈」ではたびたび「取扱者」という言葉が出てきます。一方で、「技術者」という言葉は一度も出てきません。

というのも、「技術者」というのは何らかの資格や技術を持った者を指す言葉ですが、技術者であるという事実だけだと、その者が当該の電気機械器具に関係している者であるかどうかは不明です。極端な話、技術者ではあるけれど部外者という可能性もあります。

一方で、「取扱者」であれば、当該の電気機械器具を取り扱う者という意味合いになるため、関係者であることに疑いの余地はありません。そのため、「電気設備技術基準」や「~の解釈」で用いられる言い回しとしては、「取扱者」で統一されています。

よって、( ア )には「取扱者」を入れるのが適切です。

( イ )について、開閉器や遮断器などは、電流遮断時に「アーク」が発生することがあります。この現象をアーク放電といい、これは数千℃以上の高温の光と熱(アーク)が生じるため、感電や火災につながるおそれがあります。

よって、( イ )には「アーク」が入ります。

( ウ )について、この文章では「アークが生じた際に火災にならないように、電気機械器具を( ウ )の物から離す」という内容です。一方で、選択肢は「可燃性」または「耐火性」となっています。

ここで、耐火性の物はそもそも火災を引き起こす心配がないため、無理に電気機械器具と離す必要がありません。しかし、可燃性の物は離しておかないと、火災につながるリスクがあります。

よって、( ウ )には「可燃性」が入ると判断することができます。

( エ )について、選択肢を見ると、「難燃性(=燃えにくい)」と「耐火性(=燃えない)」があります。これらを熱に対する強さで比較すると、「難燃性 < 耐火性」の関係となります。

ここで、( イ )のところで解説した通り、アークは数千℃以上の高温の光と熱であるため、アークによる火災のリスクを避けるためには、「難燃性」ではなく「耐火性」の物で隔離するほうが適切であると考えることができます。

よって、( エ )には「耐火性」が入ります。

以上から、( ア )は「取扱者」、( イ )は「アーク」、( ウ )は「可燃性」、( エ )は「耐火性」となるので、正解は(5)です。

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