電験三種 R4年度上期 理論 問16 問題と解説

 問 題     

図は、抵抗Rab[kΩ]のすべり抵抗器、抵抗Rd[kΩ]、抵抗Re[kΩ]と直流電圧Es=12Vの電源を用いて、端子H、G間に接続した未知の直流電圧[V]を測るための回路である。次の(a)及び(b)の問に答えよ。

ただし、端子Gを電位の基準(0V)とする。

(a) 抵抗Rd=5kΩ、抵抗Re=5kΩとして、直流電圧3Vの電源の正極を端子Hに、負極を端子Gに接続した。すべり抵抗器の接触子Cの位置を調整して検流計の電流を零にしたところ、すべり抵抗器の端子Bと接触子C間の抵抗Rbc=18kΩとなった。

すべり抵抗器の抵抗Rab[kΩ]の値として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 18
  2. 24
  3. 36
  4. 42
  5. 50

(b) 次に、直流電圧3Vの電源を取り外し、未知の直流電圧Ex[V]の電源を端子H、G間に接続した。ただし、端子Gから見た端子Hの電圧をEx[V]とする。

抵抗Rd=2kΩ、抵抗Re=22kΩとしてすべり抵抗器の接触子Cの位置を調整し、すべり抵抗器の端子Bと接触子C間の抵抗Rbc=12kΩとしたときに、検流計の電流が零となった。

このときのEx[V]の値として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. -5
  2. -3
  3. 0
  4. 3
  5. 5

 

 

 

 

 

正解 (a)-(2), (b)-(1)

 解 説    

(a)

まず、設問(a)で与えられている情報をまとめると、問題の図は下図のような等価回路に描き換えることができます。

上図より、Es=12[V]とRd=Re=5[kΩ]から、RdとReの端子電圧は6[V]ずつであることがわかります。また、両抵抗の間が接地点(=0[V])なので、上図の各点における電圧を書き込むと、以下のようになります。

よって、RabとRbcのそれぞれの端子電圧Vac、Vbcは次のように計算できます。

ここで、検流計の電流は0[A]なので抵抗Racと抵抗Rbcには同じ電流Iが流れるため、これらの端子電圧の比がそのまま抵抗値の比となります。このことから、Racの値を計算することができます。

以上から、すべり抵抗器の抵抗Rab[kΩ]の値は次のようになります。

よって、正解は(2)です。

(b)

設問(a)のときと同様、まずは設問(b)で与えられている情報を等価回路にまとめます。すると、下図のような等価回路で表すことができます。

上図において、すべり抵抗器そのものは設問(a)でも設問(b)でも同じものを使っているので、この抵抗器全体の抵抗抵抗Rabは24[kΩ]です。よって、Racは引き算ですぐに求めることができます(Rac=24-12=12)。

すると、Rac=Rbc=12[kΩ]となります。Es=12[V]なので、RacとRbcのそれぞれの端子電圧Vac、VbcはVac=Vbc=6[V]だとわかります。

また、RdとReの抵抗値の比が2:22=1:11なので、Es=12[V]より、Rdの端子電圧が1[V]、Reの端子電圧が11[V]であることもわかります。ここで、両抵抗の間が接地点(=0[V])なので、Rdの上側の電圧が+1[V]、Reの下側の電圧が-11[V]です。

以上をまとめると、先に示した回路図は以下のようになります。

上図から、Ex[V]は、点Aの+1[V]よりも6[V]低いところなので、次のように求めることができます。もちろん、点Bの-11[V]よりも6[V]高いところと考えても同じ答えが得られます。

よって、正解は(1)です。

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