電験三種 R4年度上期 理論 問14 問題と解説

 問 題     

次の文章は、電気計測に関する記述である。

電気に関する物理量の測定に用いる方法には各種あるが、指示計器のように測定量を指針の振れの大きさに変えて、その指示から測定量を知る方法を( ア )法という。

これに比較して精密な測定を行う場合に用いられている( イ )法は、測定量と同種類で大きさを調整できる既知量を別に用意し、既知量を測定量に平衡させて、そのときの既知量の大きさから測定量を知る方法である。

( イ )法を用いた測定器の例としては、( ウ )がある。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  •  ア   イ      ウ
  1. 偏位  零位  ホイートストンブリッジ
  2. 間接  差動  誘導形電力量計
  3. 間接  零位  ホイートストンブリッジ
  4. 偏位  差動  誘導形電力量計
  5. 偏位  零位  誘導形電力量計

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説    

( ア )に関して、測定量を指針の振れの大きさに変えて測定量を知る方法を「偏位法」といいます。これは漢字からも推測しやすいと思います。基準となる位置からどのくらい偏った位置まで動くか…と考えれば、問題文の記述は偏位法のことが書かれていると判断できます。

よって、( ア )には「偏位」が入ります。

ちなみに、もう一つの選択肢である「間接」について、間接法という言葉はあまり使われませんが、間接測定は直接測定の対になる分類として用いられます。

偏位法のように測定対象の数値を直接知る方法が直接測定です。一方、例えば抵抗値を知るために電流と電圧を測って、そこから計算で抵抗値を算出する…というような方法が間接測定に該当します。

( イ )に関して、( ア )の偏位法は仕組みが単純でわかりやすいのですが、精度がやや低いという問題があります。一方、これに比べて精度が高い測定法として挙げられるのが「零位法」です。

零位法の代表例は、重さを測るための「天秤ばかり」です。天秤ばかりの場合、片方の皿に未知の物体を載せ、他方の皿に重さのわかっている分銅を載せて、それらが釣り合う(=差が零になる)ところで未知の物体の質量を決めることができます。

零位法のほかの測定方法についても同様に、測定対象と既知のもののを平衡状態にすることで、測定対象の値を知ることができます。

よって、( イ )には「零位」が入ります。

( ウ )に関して、電気計測における零位法の具体例といえば「ホイートストンブリッジ」です。ホイートストンブリッジ自体がよくわからないという場合には、ブリッジ回路のページを確認してください。

ブリッジ回路において外側の4つの抵抗のうち、2組の対角線上の抵抗の積が等しいとき、この回路は平衡状態にあり、中央の抵抗には電流が流れません。つまり、未知の抵抗1つに対して、既知の抵抗3つを使って平衡状態を成立させれば、そこから未知の抵抗の値を算出することができるということです。

よって、( ウ )には「ホイートストンブリッジ」が入ります。

以上から、( ア )は「偏位」、( イ )は「零位」、( ウ )は「ホイートストンブリッジ」となるので、正解は(1)となります。

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