電験三種 R4年度上期 理論 問12 問題と解説

 問 題     

真空中において、電子の運動エネルギーが400eVのときの速さが1.19×107m/sであった。電子の運動エネルギーが100eVのときの速さ[m/s]の値として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

ただし、電子の相対性理論効果は無視するものとする。

  1. 2.98×106
  2. 5.95×106
  3. 2.38×107
  4. 2.98×109
  5. 5.95×109

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

電子の運動エネルギーに関する問題ですが、その式はほかの物体の運動エネルギーと同様、以下の式で表すことができます。

  • E:電子の運動エネルギー [eV]
  • m:電子の質量(に比例する値) [kg・(eV/J)]
  • v:電子の速さ [m/s]

ここで、少し脱線した解説を始めます。以下の話を理解せずともこの問題を正解することができるので、軽い気持ちで読んでください。

上記を見てもわかる通り、エネルギーの単位が[J]ではなく[eV]になっています。これは電子の運動エネルギーのときだけ使われる特殊な単位です。[eV]の読み方は「エレクトロンボルト」です。

1粒の電子がもつ電荷e[C](e≒1.60×10-19)が、電圧1[V]分を移動する際、電界が電子に与える仕事(電子が受けるエネルギー)はその積であるe[J]となります。ここで、eは定数なので、このe≒1.60×10-19[J]をまとめて1[eV]と定義しています。

感覚的には、12[個]のことを1[ダース]と呼ぶのと同じです。1.60×10-19[J]のことを1[eV]と呼んでいるという話です。以上、ここまでで脱線を終わります。

ここからは設問の解説に戻ります。

問題文によると、400[eV]のときの速さv1が1.19×107[m/s]なので、これを(1)式に代入すれば次のようになります。

また、電子の質量は定数なので、電子の運動エネルギーが100[eV]のときでも同じ値を用いることができます。よって、こちらの数値も(1)式に代入すると、次の(3)式で表されます。

最後に、(2)式を(3)式に代入してv2について解くと、次のようになります。

以上から、正解は(2)となります。

コメント