電験三種 R4年度上期 理論 問10 問題と解説

 問 題     

図の回路において、スイッチSが開いているとき、静電容量C1=4mFのコンデンサには電荷Q1=0.3Cが蓄積されており、静電容量C2=2mFのコンデンサの電荷はQ2=0Cである。この状態でスイッチSを閉じて、それから時間が十分に経過して過渡現象が終了した。

この間に抵抗R[Ω]で消費された電気エネルギー[J]の値として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 1.25
  2. 2.50
  3. 3.75
  4. 5.63
  5. 7.50

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

スイッチSが開いているとき、2つのコンデンサの静電エネルギーの合計Wbefore[J]は次のように表すことができます。

次に、スイッチSを閉じると回路に電流が流れます。そして抵抗Rでいくらかの電気エネルギーが消費されたのち、時間が十分に経過すると回路に電流は流れなくなります。

過渡現象が終了した状態では電流が流れていないので、抵抗Rの両端の電圧は0[V]であり、抵抗Rはただの導体と見なすことができます。よって、閉回路にある2つのコンデンサの端子電圧V’1、V’2の値は等しくなります。

静電容量Cの値は定数のためスイッチ操作の前後において不変であるので、コンデンサQ=CVの公式を用いると、(2)式は次に示す(3)式に変形できます。

ここで、スイッチの開閉前後で電荷が移動することはあっても、回路全体で見れば、その総量は変わりません。つまり、スイッチ操作前の電荷の総量と、スイッチ操作後の電荷の総量は等しくなります。

よって、(3)式の結果を(4)式に代入すると、電荷Q’1、Q’2の具体的な値を求めることができます。

(5)式と(6)式から、過渡現象が終了した状態の2つのコンデンサの静電エネルギーの合計Wafter[J]は次のように計算できます。

以上より、(1)式で求めたWbefore[J]と(7)式で求めたWafter[J]の差が抵抗R[Ω]で消費された電気エネルギーWR[J]の値となるので、次のように計算することで答えが出ます。

よって、正解は(3)です。

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